私の小さなため息さえも響くほど、放課後の教室はとても静かだ。
時計を見ると、あともう少しで下校時間になりそうな時刻。
本当なら、日誌も書き終えたし、もう帰ってもいいのだけど。
今日だけは、なんだか帰る気になれない。
それは、今日がクリスマスなのと大きく関係してる。
彼氏もちの友達はみんなロマンチックなクリスマスを過ごすというのに。
私だけは今年もクリぼっち。
お母さんとお父さんは二人でディナーを楽しむって家にいないし、弟は友達の家でクリスマスパーティー。
今年こそは特別な人とクリスマスを一緒に過ごせたら、どんなに幸せだろうって夢見てたのに。
「クリぼっちなんて嫌だよ……うぅ、」
悲しさのあまり、机に突っ伏した。
その時。
「へぇ、西花さんって今日独りなんだ?それは良かった」
後ろから声がした。
……えっ、誰?
顔を上げてゆっくり後ろを振り向く。
すると、体育の久々宮(クグミヤ)先生がドアに寄りかかって腕を組んでいた。
「久々宮先生……!?」
驚きのあまり、私は目を見開く。
どうして、こんな大きめなリアクションになるかというと。理由は久々宮先生にある。
久々宮先生は、年も若く美形な顔立ち。
おまけにモデル並のスタイルをしている。
久々宮先生を一目見ただけで、誰もがハートを奪われ、アイドル並のファンができるほど久々宮先生の人気は高いのだ。
それだけに、女子たちがいくらアプローチしても、まったく相手にしてくれない。
涼しげで落ち着いている、それが久々宮先生のいつものイメージでもあるんだけど。
今の久々宮先生は、やわらかいというか。
なんなら、少し笑ってる?
……いやいや!
単にクリぼっちの私をからかっているだけなのかも!?
変に期待なんてしちゃだめだよね。
うんうん。
久々宮先生なら、一緒にクリスマスを過ごす彼女さんがいるのは確実だろうし。
久々宮先生に本気で恋するだけ、つらい想いをするのは自分だってこともよくわかってる。
だから好きになっても、久々宮先生だけは絶対にダメなんだ。
そう心に強く言い聞かせる。
というか、久々宮先生。
“良かった”って言ったよね?
「久々宮先生が良くても、私は全然良くないです……!」
独りでケーキ食べてお祝いしても意味がないし。
みんなで食べるから、より美味しく楽しく感じるんだ。
「なんで?西花さんが独りな分、たっぷりと俺がひとりじめできるのに」
「は、い?」
意味ありげな言葉をつぶやくと、久々宮先生は私の席までどんどん距離をつめて歩いてくる。
「へ……、?久々宮先生……っ」
そして気づいたときには、久々宮先生の綺麗な顔が目の前にあり。私の心臓はドクンと音を立てた。
「俺とクリスマス過ごせば独りじゃなくなるでしょ」
「……えっ?」
「クリスマスだから今日はとくべつ、ね」
「〜〜っ!?」
そう甘い笑みを浮かべながら、久々宮先生は私の頭に優しく手のひらを乗せてくる。
まだケーキも食べていないのに。
久々宮先生の笑顔を見ただけで、なんだかごちそうさまの気分になってしまう。
久々宮先生から見て、クリぼっちの私が気の毒に見えた。
ただそれだけで、一緒にクリスマスを過ごそうと言い出したのかはわからない。
でも一つ言えることは。
とくべつ甘いクリスマスになったことに変わりはないってことです──…♡
written by :*✿ひめりぃ✿*:
Sponsored Link
はじめてから1年目になりました!どうぞよろしくお願い致します…✿*:ふだんは創作活動をしています…✿*:あと、えっぴぃℒℴѵℯです♡* 〖 マンガ化 〗 ✽イジワルなキミの甘いなぐさめ方 ✽不良男子と恋の花が咲きました ✽どうかこのまま夜を明けさせないで ✽雨が少し好きに思えた、この日の放課後 ✽先生がひとりじめ?みんなには秘密のクリスマス♡ ✽やっぱり、キミは甘くてずるい ✽センパイがチョコを受け取らない理由 ✽だまって、俺のカイロになってて ✽私と先生だけのスイートホワイトデー ✽甘ずっぱくて、キュンなふたりの両片想い ✽ふたりのとっておきの甘い仲直りで ✽ちょっぴりイジワルな甘えん坊カレシ ✽お菓子がないなら、キミをもらう ✽最悪なハロウィンになるはずが…!? ✽心臓にわるすぎる、キミの告白 〖動画 〗 ✽イジワルなキミの甘いなぐさめ方 ✽先生がひとりじめ?みんなには秘密のクリスマス♡ ✽センパイがチョコを受け取らない理由 ✽雨が少し好きに思えた、この日の放課後 ✽やっぱり、キミは甘くてずるい ✽私と先生だけのスイートホワイトデー ✽どうかこのまま夜を明けさせないで ✽ふたりのとっておきの甘い仲直りで ✽どうかこのまま夜を明けさせないで ✽甘ずっぱくて、キュンなふたりの両片想い 〖インスタ〗 ✽どうかこのまま夜を明けさせないで ✽先生がひとりじめ?みんなには秘密のクリスマス♡ ✽イジワルなキミの甘いなぐさめ方 ✽センパイがチョコを受け取らない理由 ✽だまって、俺のカイロになってて ✽やっぱり、キミは甘くてずるい ✽雨が少し好きに思えた、この日の放課後 ✽私と先生だけのスイートホワイトデー ✽甘ずっぱくて、キュンなふたりの両片想い ✽心臓にわるすぎる、キミの告白 とても素敵に仕上げて頂き、ありがとうございます!( ❁ᵕᴗᵕ )