好きだけじゃ叶わなかった想い

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誰だって、好きな人に“聞いて欲しいことがある”なんて呼び出されたら、告白かと思うよね。



「好きな人がいるんだ」



期待しながら指定された場所に行くと、陸くんは私のそれを見事に打ち砕いた。


「夏川さんのことがずっと好きでさ。告白しようと思うんだ」

「そう……なんだ」


相談に乗って欲しいと言われ、今は彼の顔も見たくなかったくせに「いいよ」と言ってしまっていた。


好きな人の恋愛相談に乗るなんて、これ以上に惨めなことはない。


泣きそうになりながらアドバイスなんかして、嬉しそうに夏川さんの話をする陸くんを見てまた胸が痛む。



「ありがとう。頑張るね!」


嬉々として去っていった陸くんの背中が見えなくなって、私の頬には涙の筋ができていた。



陸くんと仲が良いのは私だ。


仲良くなれば私を選んでくれると思っていた。


でも陸くんは私を選ばなかった。



次の日。


結果を聞く前から分かるような嬉しそうな笑顔を見て、私も笑った。

written by 日向 葵

エピソード投稿者

日向 葵

女性 投稿エピ 13