彼と先輩とミックス

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高校1年生のクラスマッチ。クラスから卓球の種目に選ばれたのは4人。経験者の私とBくん、そして卓球未経験の私の親友と、同じく未経験の私の好きな人、Aくん(偽名)。彼はテニス部。
クラスマッチ当日、体調不良で私の親友が欠席した。親友とダブルスを組む(2対2の卓球の試合形式)予定だった私は混乱。クラスマッチ本部に、欠席者の埋め合わせは卓球未経験者がするようにと言われ、私はAくんとダブルスをすることになった。男女のダブルスは、ミックスという。
試合は順調に進み、1回戦のBくんは相手に勝利。2回戦、私はAくんとダブルス。
Aくん「俺はじめてでさ、下手かもだけどよろしくね、頑張ろ!」
私「あ、うん!」
ドキドキが止まらない。2人で試合に出る!?ここは夢?
なんて眩しい笑顔だろう。
私はAくんにサーブの仕方からスマッシュまで教えながら一緒に戦った。
そして、勝利!
喜んで飛び跳ねる私にAくんが両手を出してきた。
私「え?」
Aくん「ほら!」
は、は、ははははハイタッチ!?
いいの?汗かいてるよ!?
恐る恐る私もその掌に自分の手のひらを重ねた。嘘みたい。Aくんとハイタッチしてる。。。
Aくん「あ、次また俺だ」
ふと気づいたAくん。そう、これは埋め合わせで入ってくれた試合。Aくん1人で戦う(シングルス)本戦は、これからなのだ。
私「が、がんばってね!」
Aくん「おう!」
何がなんでも全力でAくんを応援しよう。
そう思って次の試合の観客席に移動した。
すると誰かに肩を叩かれる。振り向くと、先輩がいた。同じ部活で、女子人気がとても高いイケメンな優しい先輩。
先輩「よ!」
私「こ、こんにちは!」
先輩「ね。これから試合なんだ。応援しててよ」
私「はい!もちろんです!」
そうか、先輩も卓球経験者だったけ。
あれ、てことはまさか、、、
悪い予感は的中、Aくんの相手は先輩だった。
これ、どっちを応援する!?いや、そりゃAくんだよね?未経験のAくんと経験者の先輩じゃ太刀打ち出来ないかもだけど、だからこそ、Aくんを応援しなきゃ!
Aくんと先輩の試合が始まる。もちろん、先輩はどんどん点を決めてく。Aくんの表情が厳しくなる。
私「Aくん!がんばって!がんばれー!」
私が思わずそう叫んだのが届いたのか、Aくんはこっちを向いてニカッ!と笑って見せてくれた。
そうだ、この笑顔に惚れたんだ、私。
先輩はビックリしていた。
試合は進み、
結果は、やはり先輩の勝ち。
汗を拭っているAくんの所に走って向かった。
私「すごかった!かっこよかったよ!」
Aくん「そうか?かっこよかった?なら、いいか笑」
私「うん笑」
Aくん「まじ、さっき教えてくれたサーブのおかげで6点取れた。サンキュ!」
私「こちらこそ!」
来年、私とAくんは文系と理系に別れてしまうから、同じクラスにはなれない。もう、一緒に卓球も出来ない。でも、
私「またしよう!卓球!ミックス!」
Aくん「もちろん!絶対!」

高校1年生の夏のクラスマッチ。
絶対に一生忘れない。

written by あおあお

エピソード投稿者

あおあお

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