中学時代、しつこくて幼かった男子の話

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私が中学二年生だった頃、執拗に絡んできたクラスの男子がいた。
彼は、私の顔立ちは大人っぽいからと、私のことを「姉さん」と呼んでいた。
毎日毎日しつこく幼稚にからんできたのではじめは本当にうっとうしいと思っていた。
授業中目が合ったら変顔してきたり、「姉さん大好き」と叫んできたり…あげたらきりがないほどだった。
だけれど、眩しい笑顔で話しかけてくる彼を見ているうちにうっとうしいという感情は消えていった。
その日から彼が私に大好きと言えば、私も大好きと言い返すようになった。
それが毎日続くうちにより一層絡みが増えた。
しかし、中3になり受験期へ移ると同時に彼とは絡むことはなくなっていった。
彼はいつのまにか大人になっていたのだ。
そして、卒業するまで以前のような絡みをすることはなく、私と彼は別の高校へ進学した。
進学校へ進学した私は毎日を平穏に過ごしている。高校生となるとみんな大人なので、幼稚なことは誰もしない。本当に平和だ。
でも、
満ち足りている高校生活なはずなのに、ふとした瞬間に彼が私を笑顔で呼ぶあの姿を思い出してしまう。その時にはじめて自分の気持ちに気付いた。華奢で、声が高くて、幼くて、しつこかったあの時の彼はもうここにはいない。「姉さん大好き!」と言ってくることもない。そんな寂しさを抱えながら、私は高校生活を送っている。








written by ジリオラ

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ジリオラ

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