中学生の淡い恋

コンテンツ名とURLをコピーする

あれは、中学一年生の事でした。6月も終わりを迎えやっと中学校に慣れてきた頃、部活の先輩(まな)からあなたのことが好きという人がいると言われました。当時、先輩という存在は恐れられていたので、私は若干の恐怖を覚えた記憶があります。
数日後、まな先輩から一枚のメモ帳を貰いました。そこには、「好きです。僕と青春を送ってください。」と書いてありました。私はその先輩(こうた)とは面識がなかったので、どうすればいいかわかりませんでした。その日の部活途中に、まな先輩に呼び出され部室裏に行きました。そこにはこうた先輩が立っていました。私はびっくりして固まってしまいました。こうた先輩は緊張しながら、「好きです。付き合ってください。」と言いました。ですが、私はこうた先輩のことを何も知らなかったので断ってしまいました。でも、その告白後からこうた先輩のことが気になり始めていました。
夏休みに入りました。私たちの学校は、シャトルランの回数が多い人から夏限定の駅伝部に誘われるという伝統があります。また、運動部に入っている人は駅伝部に入らなくても強制的に駅伝練習に参加するという決まりもあります。私はバドミントン部だったので、毎日部活前に駅伝の練習に行っていました。またこうた先輩は足が速かったので、駅伝部に誘われ、入部していました。私は駅伝練習に参加している時、気が付けばずっとこうた先輩を探していました。この時私はこうた先輩のことをすきになっていると気が付きました。ですが、一回告白を断っている上に先輩なので会話する機会もほぼなく、こちらから気持ちを伝えられる状況ではありませんでした。
ある日、地元で夏祭りが開かれました。毎年行われる、地元の中でも大きな祭りで、もちろん私も友達と行っていました。屋台を見てまわっていた時、こうた先輩が近づいてきていることを気がつきました。私は、ただ屋台を見てまわっているだけと思い、気がついていないふりをしました。すると、こうた先輩は私の近くに来て、ちょっと来てと言いました。私は戸惑いながらもこうた先輩の後をついて行きました。祭り会場から少し離れた人が少ない場所に着いた時、こうた先輩は後ろにいる私を見て、「一度振られたけど、どうしても諦められない。もう一度告白させて欲しい。好きです。」と言いました。私はこうた先輩がまだ私を好きでいたことにびっくりしましたが、すごく嬉しくて「私も好きです。」と言いました。これまでで1番幸せな瞬間でした。その時のこうた先輩の笑顔は忘れられません。結局、先輩と後輩ということもあり、学校内で会話する機会はほぼなく、すれ違いが起こって別れてしまいましたが、夏祭りでの出来事は一生の思い出です。今でもその祭りに参加すると、胸が苦しくなって切ないです。もしも、もう少し遅くに出会ったらと考えてしまうこともありますが、私に青春を送らせてくれた先輩に感謝しています。

written by ゆめこ

エピソード投稿者

ゆめこ

秘密 投稿エピ 1