これは今の私の彼と付き合うまでの話です。私は大学3年生の春にカフェのアルバイトを始めた。アルバイトを初めて1ヶ月経った頃にマネージャーから超エリート大学の学生で私よりも歳が1つ上の新人が入ると聞いた。どんな人なのか気になっていたけれど、彼とは仕事の時間が被らず初めて会ったのはアルバイトの飲み会の席だった。「小林です」集合場所に現れた彼は優しく穏やかな声で自己紹介してくれた。私は小林くんを見て一目惚れした。サラサラで茶色の髪をしていて小顔で塩顔イケメンの彼に惹かれない訳がなかった。しかし、その初対面だった飲み会で彼には高校から真剣交際している彼女がいることを明かされる。それでも諦めることが出来なかった私は、小林くんとの共通の友人のひょうきん者の黒田くんに相談をした。黒田くんには応援すると言われたものの小林くんと彼女は仲が良いから難しいかもしれないとも言われた。その日から私は小林くんへの気持ちを心の奥底にしまっておくことにした。小林くんとはそれからたまに仕事の時間が被るようになった。小林くんは普段からあまり話さない性格だけど、私への態度は素っ気ないもので、完全に私に気がないことが明らかであるかのようだった。そのうち彼への気持ちにケジメをつけることができ、段々彼への気持ちがなくなって行った。そこから一年が経った。私が大学4年生になり、学生最後の冬を迎えようとしていた時、突然小林くんから「就職の相談に乗って欲しいから飲みに行こう」というLINEが来た。小林くんには彼女がいた。LINEをしても既読無視をするタイプの小林くんから突然の連絡を受け、とまどいながらも二人で飲みに行くことになった。しかし、そこでは一切就職の話をせずお互いの恋の話や将来どうなりたいか、昔はどんな子供だったか等、まるでこれから付き合うカップルのようだった。しかし彼には彼女がいてそんなはずはないと思っていた。しかし、また数日後に飲みに行こうと誘われた。そしてクリスマスが迫っていたあの日がやってきた。二人で飲んだ帰りに付き合って欲しいところがあると言われてついていったところはイルミネーションの輝く道だった。彼と私は気まずい雰囲気に包まれたまま、イルミネーションの道を何往復もした。そして帰りの電車の時間が迫った私は帰ろうとしたその時、彼は話があると細い道に私を連れて行った。そして、モジモジしている彼を見て私は思わず、「もしかして私のことが好き?」と大胆発言をしてしまう。奥手で草食な私がこんな発言をしてしまったことをあとから後悔することになるのだけれど。そして彼は照れくさそうに頷いた。「初めて会った時正直ハルさんに一目惚れをしてしまったけど、当時付き合ってた彼女に申し訳なくてその気持ちを抑えてて、普段も素っ気ない態度をとってた。でも黒田からハルさんの気持ちを聞いて素直になろうって決めた。だから、好きです、付き合ってください」と言ってくれた。しかし、私は彼のことを完全にケジメをつけて好きという気持ちは無かったし、彼女とは別れたと言いつつも6年も付き合った彼女と別れたという彼を信用出来なかった。彼女と別れたとしても一時の感情かもしれないし、彼は就職で遠くの地域へ行ってしまう。そんな遠距離恋愛になることを分かりながら私に告白してくるなんてきっと一時的なものだと信じられず、彼を振った。
しかし1ヶ月後また飲みに行くことになり、その時までに改めて答えを考えてくることになっていた。私の気持ちは変わらなかった。それと同時に彼の気持ちも変わらず、私のことが好きだと言ってくれた。さらに、その時私の誕生日が近かったことを覚えていてくれてお菓子をくれた。申し訳ないという気持ちを抱えながら私は小林くんを再び振り、もう会うことはないなと思っていた。しかし彼がくれたお菓子はマカロンだった。マカロンをプレゼントすることには意味があり、自分にとってあげた相手が特別な存在という意味が込められていた。私はこんなにも私を思ってくれる人はいないと、マカロンをくれたことをきっかけに彼への気持ちが再燃しその時夜中であったが電話をしたいと彼にLINEをした。そして電話で「やっぱり付き合いませんか?」と言って私と彼はこうして付き合うことになった。
written by ハルル
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