忘れられない初恋

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出会ったのは小学5年生のクラス替えの時。
たまたま隣の席になった彼、卓杜くんは頭が良くてやんちゃで笑顔が素敵な人でした。
次第に仲良くなっていった私たちにはある習慣がありました。毎朝、教室の入口でつける名札を先に来た方が隠すというものです。道具箱の中、紅白帽子の中、クレヨンの中など色んなところに隠しあっていました。
授業中にノートの端に落書きして見せあったり、テストの点数を競ったりしていくうちに、私は彼をすきだということに気がつきました。
しかし、彼は6年生に上がると同時に遠くの県に引っ越してしまいました。
スマホもメールもなかった時代に彼と連絡する手段はなく、悲しみに暮れていました。
そんなある時、友人のお母さんに言われたのです。手紙を書いてみたら?と。転校先の学校は分かりましたが、学校に送っても確実に彼の手に届くという保証はありませんでした。でも諦めきれず一か八かで手紙を出してみたのです。1ヶ月、2ヶ月、半年たってなんと彼からの返事が来たのです。
そこから私達は半年に1回のペースで文通をしました。学校の事、友達の事、中学に上がって進路のこと部活のこと。年に数回の少ないやり取りで色んなことを話しました。けれど、私が一方的に送った手紙に彼は迷惑してるんじゃないかと言う思いが日に日に大きくなっていき、ある日を境にパタリと文通を辞めてしまいました。

あれから数年、私は今年で社会人3年目になりますが、ふとした時に彼のことを思い出します。今はどこで何をしているのだろう、もしあのとき文通をやめていなかったら、せめてケータイの番号だけでも交換していたらと。彼との手紙と住所も処分してしまい、今は知る術もありません。ただ、彼がどこかで幸せに暮らしていたらいいなとおもいます。

written by さわこ

エピソード投稿者

さわこ

女性 投稿エピ 1

昔の恋とか今の恋とか