彼の性格は、ちょっと変わっている。私は、もともとちょっと変わっているなとは思っていたが、思い返せば私の思っている以上だった。
私が20歳くらいのとき、転職しようと思い仕事を辞め、その時くらいから彼の家に泊まるようになった。彼は、このままメリハリが無くなるのは嫌だったらしく、いろいろ言われたが、彼も諦めたのかそのまま同棲する事になった。しかし、そんな彼にはいくつか、決まり事があった。①お風呂から上がった後、椅子に座るときにはタオルで拭いてから座る。②ベッドには、寝るとき以外乗らない。③携帯はお風呂から上がったら最後に拭く。④私が入ってはいけない部屋がある。大まかに4つの決まり事があった。その他にも小さな事がいくつかあったが、その時の私は、誰しもみんなこだわりはあるし、人それぞれだしと普通に思っていた。もちろん、周りからは「やだー」「ムリ」「やめときなよ」という声が圧倒的だった。そんなある日、問題は起こった。私は、新しい仕事が見つかり、支度をしていたら自分のハンカチが見当たらず、彼のハンカチを借りようと入ってはいけない部屋に入ってしまったのだ。もちろん、入った形跡をなくしたはずだったのに、彼には分かってしまった。私が仕事終わった頃彼から連絡が来たのだ。「部屋に入った?」彼の声は暗く沈んでいた。私は、その言葉に恐怖を感じた。私は恐かったが、帰ってみると部屋は暗く、テーブルに伏せている彼の姿があった。そこから、就寝前まで彼とは口を気がず、恐くて口を聞けず、私はただただ、何で部屋に入ってしまったのだろうと後悔し、泣いた。お風呂から上がった彼に恐る恐る、聞いてみた。「部屋に入った事怒ってる?」彼は「怒ってるというか、今後のこと考えてた」と言われた。私はビクッとなり、頭の中が真っ白になった。そんな私に彼は「同棲すると自分の思い通りにいかない事はわかってる。だから、あの部屋だけは清潔さを保ちつつ、自分の精神を保っていた」と教えてくれた。私は「ごめんね」と謝る他なかった。私は、この一件以来2度とあの部屋には入らなかった。
written by さーちゃん
Sponsored Link
初めまして! 始めたばかりなので、温かい目で見て頂ければと思います!!