だいすき、ごめんね。

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青い果実と比喩されるような年齢の自分が、一年前の話をしてみたいと思います。

中学生の自分は元々バスケ部だったのですが偏頭痛が酷い時が多く、それ故に同級生達と比べて活躍出来ない事が多くて、結局退部しました。ただ、趣味が絵を描く事だったので次の行き先は美術部にしようと考えていたのですんなりと行きました。

新一年生達と共に入った部活でしたが、そこで後に告白する相手と出会いました。その子は明るく、優しく、責任感を強く持ちながらも、ふざける時はふざけるメリハリのある子でした。

美術部にいた男子は自分(カエデ)と後輩君の二人しかおらず、この部活で出来た友達は異性ばかりで、同級生からはハーレムなんて言われましたが、その頃の自分には後に告白する女の子しか見えていませんでした。一途と言うのでしょうかね。

いつだったかは忘れましたが、部活が終わり、帰る時にその女の子と一緒になったんです。その時にその子に驚くべき事を言われたのです。
「カエデって、好きな子とか居るん?」
雨が降る日の事、その時に嘘をついたのです。ホントはその子が好きだったのに、
「好きな子は、居ないよ」
と、一言。

心が辛かったその時の自分は、外の空気が冷たくなる頃、同じ部活の友人にLINE経由でこう言われました。
「カエデ、あの子の事が好きなん?」
ドキッとしましたね。バレてたのかって感じで。
「そうだよ、惚れてる」
と、素直に答える事しか出来なかったですね。
正直者にはご褒美を、と言わんばかりにその時の自分にとって良い報告をもらったのです。
「一学期の時から気になってるのは知ってて、割とカエデの事気にしてるんやで?」
鼓動が大きすぎて心臓が掴み取れるんじゃないだろうかと思いましたよ。

いつか二人きりで帰れたら…
そう考えていたある日。二人きりで帰れたのです。学校から直進して、ある交差点に着くまでがタイムリミット。それまでの間に
「好きな子居ないよって言ったけど嘘だよ。好きな子はいる」
そう言うとその子は、
「ちょっ、誰なん?」
と興味深々で聞いてきました。でも、その時の自分には勇気が無く、ヒントと称して
「メガネをかけてる」
「髪は長くは無い」
等の本人の特徴を言い、結局
「次、機会あったら教えて!」
と言われ、その場は別れました。

その3日後の休みに、
「ハロウィンの時のお菓子渡すから遊ぼうぜ」
と誘って、二人の空間を作る事には出来ました。自分は眼鏡をかけた冴えないモブ男子、と言った見た目なので出来る限りのオシャレをして、彼女の元へ行きました。幸い、彼女の家の近くにはあまり人が多いとは言えない公園があったので、そこのベンチに腰掛けて話す事にしました。彼女は渡したレモンティーを飲みつつ、自分はコーヒーを片手に、ベンチに二人共腰掛けて会話をしていると
「あの時のヒントの3つ目は?」
と言われたのです。今度は、間違えないと思い
「今、隣に座ってる人」
と、一言。するとその子は
「えっ…だ、誰なんだ〜?」
と言ったので引き返せないように、言ったのです。
「大好きです」
と。言い切った、と思っていると彼女から一言。
「…で?」
その時ハッとしたのです。付き合ってほしいと言っていなかった事を。
「…付き合ってください」
互いにコレが初めてだったのです。
自分は、自分の意思で告白するのが。
彼女は、それまで誰かから告白されるのが。
それ故にその日は
「どう答えればいいのかわからない」
と言われ、結局答えは聞けませんでした。

それから一ヶ月後、定期テスト一週間前のある日に
「一緒に、帰ってくれない?」
と誘われました。朝言われたその時から、薄々勘付いていたんです。
最初は、希望を捨てないように、希望を信じるように、恋が実ると思い込もうとしましたが、帰る頃には、もうどう言われるかをわかっていたんです。
「やっぱ、友達でいる方が、いいかな」
周りには生徒があまり居ない中、失恋を経験しました。
「…そう言うと思ってたよ。ごめんな」
その時は、強がってか涙を流さないように、いつも通りに、隠そうとして口角を上げていたのですが、帰宅してから、二、三滴程涙が出てきたんです。

今も、友達として喋ったり、遊んだりする事はあります。でも、心の奥では、大好きだって思ってるんです。
ごめんね。こんな男で。

written by どこにでもいるモブ。

エピソード投稿者

どこにでもいるモブ。

男性 投稿エピ 2

まだまだ青いガキンチョです。