あの時勇気を出してたら

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 中学時代にとてもとても大好きだった部活の先輩と久しぶりに再会したのは大学1年生の時、地元の夏祭りでのことでした。
 その夜先輩から「お前今どこにいる?今から会いたい」 と1本の電話がかかってきました。言われた公園に向かうと、先輩がベンチに座って待っていました。「急にどうしたんですか」笑ってそう言って隣に腰掛けると、中学生の頃と何も変わらない笑顔で先輩は「久しぶりに会えて嬉しくて、つい電話かけちゃった」と言いました。
 何も変わらない笑顔に安心して1時間くらい話した頃、ふと先輩が「俺中学生の時、お前のこと夏祭りに誘おうと思ったんだけど勇気がなくて誘えなかったんだよね。あの時、俺お前のこと好きだったよ」と照れたように笑って言いました。「私も勇気がなくて言えなかったけど、私も先輩のこと好きだった。すごく、好きだったよ」その言葉をきいて、先輩は悲しそうにそれでも嬉しそうに微笑んだのでした。
 そのあと何かあるわけでもなく、先輩もその当時彼女がいて進展もなく、その夏以降、先輩とは会っていません。風の噂で彼女と別れたと聞きましたが、今はもう新しい恋人がいることでしょう。
 最後に会ってから4年経ちましたが、先輩のことはとてもいい思い出です。

written by りい

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りい

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