大切な人

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中学2年の夏、同じクラスの男の子に告白されました。今まで誰かと付き合ったことなんてなくて、最初は戸惑ってしまいましたが、「好きだ」とまっすぐ言ってきてくれた彼のことが徐々に気になるようになっていきました。当時、私は生徒会長を務めていて、彼は副会長を務めていました。私は背も低くてスタイルも良くなく、可愛いわけではありませんでした。加えて、剣道部に所属していた私は、男勝りできつい性格でした。そんな私を好きになってくれたことが嬉しくて、私は告白に対してOKと返事をしました。それからは、毎日メールしたり、電話したり、手を繋ぐだけで幸せになれるような、そんな日々を過ごしていました。しかし、しばらくして私が県外の高校に進学することが決まりました。「世界で活躍したい」小さな頃からの夢を叶えるために、私はアメリカ留学を決意したのです。反対に、彼の夢は地元に進学して、地元に就職することでした。私のことを彼が大好きなのは知っていました。そして、私の夢の実現が近づくにつれて、彼と一緒にいられなくなるのもわかっていました。そんな現実がつらくて、私は彼に「別れよう」と伝えました。彼はなにも言いませんでした。ただ一言、「わかった」とだけ言って、それからは連絡もあまり取らなくなっていきました。それからしばらくして、彼が別の女の子と付き合っていることを知りました。彼の中で、私の存在はそんなに簡単で軽いものだったのかとショックを受けましたが、自分の道を歩もうと踏ん切りがつきました。しかし、高校生1年になったある日、留学を終え日本に帰国した私のもとにLINEが届きいたのです。そこには、「元気?」「実は、今付き合っている彼女の相談に乗って欲しくて」と、彼からのメッセージがありました。少し悲しかったけど、相談に乗ることにしました。彼は元彼以前に、腹を割って話せる良き友人だったからです。それから、しばらくして、ずっと連絡を取り合ったり、2人で会うようになりました。一晩中電話したり、2人で映画に行ったり、まるで付き合っていた頃のようで、私も楽しかったです。話している最中に、彼はよく将来の、結婚や仕事の話などをしていました。その中で、「歳を取っても2人とも独身だったら、結婚しような」と言われました。
しかし、今でも彼からの「好きだ。よりを戻そう。」の言葉はありません。私からほのめかしたこともありましたが、やんわりと断られてしまいました。きっと、あの別れを告げた中学の時点で、彼の私への思いは消え、「好きな女の子」から「良き友人」へと変わったのだと思います。
それでも、私はいいと思っています。彼は大切な人で、かげかえのない存在です。たとえ、彼が誰か他の人と付き合って結婚することになっても、彼が幸せなら、私は応援しようと思っています。この不思議な関係が、私たちが再び結ばれることによって終わるのか、それとも彼が他の誰かと結ばれることによって終わるのか、私にはわかりませんが、どちらでもいいと思っています。

彼が幸せである限り、私も幸せに違いないから。

written by のん

エピソード投稿者

のん

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