「このくそ暑い日になんで走らんといけんの」
中学生になって最初の体育大会。
男子並みに短い髪の毛のせいで運動部に見られがちな私だが、これでも一応文化部。しかも極度の運動音痴。
こんな大勢の前で恥をかくわけにはいかない…なんて考えているうちに私の番がやってきた。
「ひなー!頑張れー!!」
「はいはい、どうせ最下位ですよーだ」
友達の応援を軽く流してスタート位置につく。
チラッと応援席を見ると、ニコニコしながら私を見ている先輩。げっ…と思ってすかさず目をそらす。
(なんで先輩が隣におるん!?)
平常心を保とうとしても、好きな人の前ではやっぱり緊張してしまう。
「位置について…」
「ひなちゃん」
(えっ、)
「よーい…」
「頑張って」
パンッ
ピストルの音と同時に前を向いて走り出す。無我夢中で走っていたらいつの間にかゴールしていた。そしてさっきの先輩の言葉を思い出す。ぶわっと身体中に熱が伝わっていくのがわかる。
(頑張れって…あれは反則やろ///)
徒競走の結果はなんと「1番」。いつか先輩の「1番」にもなりたいと思う私だった。
written by ⛓ ひな ⛓
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