部活と告白を天秤にかけて…

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中学1年生。県外の小学校から引っ越して入学した為、知り合いは勿論いない。周りの女の子は同じ小学校グループから始めていて入っていけない。気付いたらクラスの人達からも余所者と扱われていて、辛くて勝手に涙が出ていた。
そんな時に『どうしたの?大丈夫?』とクラスの男の子が声をかけてくれてくれた。余所者と扱われている私に声をかけてくれた優しい人。この時に彼の人間性に惹かれた。
何とか部活も始めて、部活を通じて友達も出来て2学期ぐらいにはクラスの人達とも話せるようになった。
そんな時、理科の授業を受けていた理科室での席替えがあった。たまたまくじを引いた後に声をかけられて、くじを見せあったら彼と1番後ろの端っこで隣の席でびっくり。
普段の教室では話せないけど、この授業の時はこっそりとお喋りをずっとしていた。その時の話は本当に大した事のない部活の話や、見たドラマの話なのに楽しくて、完全に恋に落ちた。
しかし私の部活(陸上部)は強豪校で、恋愛禁止。私も短距離走で県大会入賞をずっと目指して練習をしていたので、告白するなんて考えられなかった。顧問の先生は『勝ちたいなら恋愛なんてするな。恋愛はいつでも出来るが、大会は3年間のうちに何回ある?そして勉強もいつするのか?よく考えて行動しなさい。』と話していたから、真面目な私は恋をしたことに悩んでいた。
そんな時私は足の怪我をしてしまい、2年生の春大会で何とか選手にはなれたが県大会への出場権は逃してしまう。恋愛にうつつを抜かしていた罰だと思うようになってしまう。
2年生で彼とはクラスは隣同士になって離れた上に、県大会への出場権も逃してもう苦しくて仕方なかった。更に彼に好意を持つ女の子が出て来て、告白をする噂が流れ始める。そんな時にたまたま部活帰りに彼が1人でいるところを発見して、部活の人達に告白してこい!と言われる。
しかし、県大会にも出れなかった、3年生春の大会でしかチャンスはない、そしてキャプテンになった今は部活しかないと思った私は、やはり告白は諦めた。皆呆れていたけど、その時はこれが正しいと思っていた。
その後、彼はその女の子と付き合うことになった話を聞いた。かなりダメージは大きかったが私は忘れるように練習に明け暮れた。その甲斐があって、私は県大会への出場権を獲得した上に入賞もした。目標は達成出来た。周りの恋愛もこっそりとやっていた部活の人達は皆結果を残せなかった。やはり私は正しかったと思った。更にその成績を持っていたので、合格50%と言われた第一志望の高校も合格出来た。
しかし、ふと振り返ると彼の優しさと笑顔を思い出す。あの時もし告白していたら、どうなったのかな?
たまたま同じ高校だったので、もし告白して成功していたら…とか色々考えてしまう。
更に大人になって、職場結婚をした今でも引きずっている自分がいる。未だにあの優しさを持った彼以上の人は現れてはいない。

written by ちほり

エピソード投稿者

ちほり

女性 投稿エピ 1