大学を入学し、軽音楽部に入ってギターを始めました。始めるからには上手くなりたいと思っていました。
新入生歓迎ライブでギターを弾いていて、上手かった1つ上の学年のA先輩に、新歓で突然、「はじめまして!ギターを教えてください」と言い、連絡先を交換しました。それ以来、分からないことがあるときにラインをし、部室に呼び出して2人でギターを弾いていました。あるとき、同期の女の子から、A先輩に彼女がいると聞いて、ショックを受けました。そこで好意を自覚しました。でも先輩には彼女がいるし、軽音部という狭いコミュニティでややこしい噂になるのは嫌で、今の関係も壊したくなくて、誰にも言わずに感情を伝えないことにしました。普段は先輩と『仲のいい先輩と後輩』という関係でもなく、『ギターの話しかしない、雑談をすることもない』いうあっさりした師弟関係でした。挨拶をするだけでも幸せでした。
部室ではほぼ毎日A先輩がギターやドラムを練習していました。何度か先輩が入るところを見ていたので、音が鳴ってる時は「私も一緒に練習していいですか?」と言って、部室に入っていました。
所属している軽音部は飲み会が盛んでしたが私は人見知りで溶け込めず、あまり友達がおらず、A先輩と同じ学年の女の先輩がかわいがってくれていました。先輩たちが卒業のときに、私も一緒に卒業旅行へ行きました。私は普段から歩くのが早く、A先輩も歩くのが早くて、必然的に団体の先頭を2人で歩いていました。そこで私は、初めてギター以外のことをA先輩と話しました。3年間で、私たちはたくさんギターの話をしていたけど、A先輩のことは何も知らなかったことを知りました。その夜に居酒屋で、『見つめ合って照れたら負け』というゲームをA先輩とし、秒殺でした。このとき、もしかしたら感情がバレたかもしれません。
旅行から数週間後、卒業ライブがありました。ライブの間に1時間ほど休憩時間があり、私は友達がいないので、ホールの隅っこで1人で音楽を聴いて過ごそうと思っていました。するとA先輩がきて、「郵便局行くの付き合って」と言われました。私はこのとき、「もしかしたら先輩は私の感情に気づいたから、告白させようとしてるのか?」とか、「神様から贈られた、告白チャンス」とか思いましたが、『最後に気まずい想いをしたくない。残された短い時間で、たくさん話したい』と思い、気持ちを伝えないまま、郵便局とホールを往復しました。
卒業式、先輩に会う最後の日には、A先輩とツーショットを撮りました。この日の夜、どうしても感謝の気持ちを伝えたくて、「出会った時からずっとずっと尊敬してて、誰よりも憧れてました。私が今、ギターでできることは全部先輩のおかげです。卒業おめでとうございます。ありがとうございました」と、『好きです』以外の気持ちを全て伝えるラインを送りました。
今、A先輩が卒業してから2年経ちますが、A先輩と一緒に弾いた曲や、先輩が好きだったバンドを聴くと、当時の気持ちを思い出します。
written by もっちゃん
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