20年の片想いは18文字のラインで幕を閉じた。その後成人式で再会

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私「ずっとあなたが好きでした!」

私は幼い頃から一人の男子に恋をしていた。
通学路が同じだから一緒に登下校し、笑って、はしゃいで、バレンタインだって毎年必ず渡していた。
いわゆる幼馴染というやつだ。
その子は顔や運動神経がいいとは程遠い子だったが、優しい子だというのは私が一番よく知っている。

そう思っていた。

中学に上がった私は、恐れていたことに直面した。
幼稚園児の頃から少しずつ悪化していた、いじめが中学で更に悪化したのだ。
肩にあざを残すほどの暴行、目を箒でつつかれる、部室にまで乗り込んできたこともあった。
女子たちは私に関する情報収集係。男子はそれを餌として私に嫌がらせをする実行係。
いじめ側はずる賢く姑息。それもあってか、彼は見て見ぬふりだった。
臆病な君に助けてとは言えない。言わないからせめて、声をかけてほしかった。なんでもいいから。そしたら大丈夫だよって言えたはずなんだ。

でも結局卒業するまで、彼が声をかけてくれることはなかった。

高校は別々。いじめグループのいない志望校に合格した私。いじめのない学校生活は私には衝撃があまりにも強すぎた。

自律神経失調症。それが今も私を脅かす病名だ。
中学までのいじめがストレスとなって、高校一年二学期に発病したのだ。
真っ直ぐ歩くことも、眠ることも出来ない。
独りベッドの上で思うように動かない身体を見つめながら、休学の日数を増やしていった。

そんな時、今なら「なんで?思い出したの?」と言いたくなるほど、あの人が恋しくなった。
今の状況、体調、心を誰かに知ってほしい一心で彼に手紙を送り、その後ラインを送った。
もうすぐ大人になる。だから幼い頃からの想いをありったけの勇気で震える手でその文章を送った。

私「ずっとあなたが好きでした!」

でも、結果は

「俺はそんな風に思ったことは一度もない」

呆然し、私はベッドの上で声を上げて泣いた。こうして、私の長い長い初恋はたったの18文字のメールで幕を閉じたのだ。

それから数年。私は成人式を迎えた。
立食でみんなが騒いでるなかで、私はあの人を見つけた。
背が伸びただけで全く変わっていなかった彼。
久しぶりだねとお互い言った後、私はこう言った。

私「ごめんねずっとメール送ってきて迷惑だったでしょう?うざかったでしょう?でももう大丈夫だよ。私、好きな人できたから。二度と連絡しないから。バイバイ」

そう言い残して私は微妙な空気の会場を出た。ふっと力が抜けて熱を出したが、後悔は消えていた。
熱が下がったら、フラれてから一度も切らなかったこの長い黒髪をバッサリ切りに行こう。今好きな人の好みの髪形になるために。
(完)

written by 藍田そら

エピソード投稿者

藍田そら

秘密 投稿エピ 2

病弱ですが頑張っているときが一番幸せだから毎日大切に生きています。大げさですね、すみません♪