付き合ってもうすぐ半年になろうとしていた、同い年の彼氏がいました。仲は良かったのですが、価値観の違いが原因で、別れることになりました。
お互いに自分の価値観を変えるつもりがないことがわかり、そのまま、あっさりと別れる流れになってしまいました。
なので特に悲しい感情もなく、「別れるのってこんなものだっけ」と思っていました。
スマホの音楽アプリを開き、シャッフルモードで適当に曲をかけました。すると、なぜかプレイリストに登録していない曲が流れてきました。
それは、付き合いたての頃に彼が「俺の大好きな映画だから」と言って、見せてくれた映画の主題歌でした。
その曲とともに思い出が一気に蘇ってきました。
その映画について「このシーンがいいんだよ」と熱心に解説してくれた彼のキラキラした目。
デートの別れ際、寂しくなって泣いてしまった私を、まるで小さい子どもをあやすように慰めてくれたこと。
私の荒んだ過去を知ったときも、嫌な顔ひとつせず受け入れてくれたこと。
照れ屋で愛情表現が下手な彼でしたが、彼なりに好きでいてくれたのかな、と思うと、涙が止まらなくなり、その夜はしゃくり上げて泣き続けてしまいました。
あのときあの曲が流れていなかったら、私は自分の気持ちや思い出と向き合うことはなかったと思います。
別れる道を選んだ私たちですが、お互い良い未来が待っていれば良いなと思っています。
written by なな
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