初恋の答え合わせ

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私の初恋の相手は12年ある学校生活のうち、11回同じクラスになった男の子でした。

初恋の自覚をしたのが小学3年生。隣の席になって何かと話すことが多かったのと、その頃からお互い同じ部活動(バスケ部)に入り始めて私と彼はより意気投合したのがキッカケでした。けれど、周りの冷やかしや彼を好きになった子からの陰口なのど些細ないじめを受けて、私は自然と彼から距離を置くようになったのです。

それから中学に上がっても私たちは"友人"としての仲はよく、"バスケ部エースコンビ"と冷やかされても互いに悪ノリして受け流せるようになってました。

そんな彼と初めてクラスが別れたのが高校1年生の時でした。同じ高校を選んでいたことには驚きましたが、お互い「やっと離れたな(笑)」って笑い合いました。
高校では彼は弓道部に、私はそのままバスケ部にそれぞれ入部して彼との接点も段々と薄くなっていました。

そして高2の最後のクラス替え発表の日。この日、本当に何となくでしたが、「彼と同じクラスになる気がする…」と言った漠然とした予感(?)がしたんです。
そうしたら予感的中。見事に同じクラスにお互いの名前があったんです。いつの間にか隣でクラス発表を見ていた彼とほぼ同時に「またかよ(笑)」と。

それからの2年間、私達は11回も同じクラスになったことをネタに弄られ「もうお前ら付き合えよ」とまで周りに弄られることもありましたが、「嫌、絶対無い(笑)」などノリでお互い受け流していました。そしてお互いに別の人に恋をして、時に友人として関わりながら迎えた卒業式の日。彼は大学に、私は専門学校にと別々の進路が決まっていました。

卒業式後、クラスの打ち上げを終えての帰りの電車。
いつも片道40分かけて私と彼は3年間同じ高校に通っていました。その日が彼と帰る最後の電車でした。

今まで別の席に座っていて、それが当たり前だったのに、その日は「同じ席に座ろうぜ」と初めて隣の席に座りました。それからお互い高校卒業まで起きた他愛のない話をして笑い合って、話の流れが恋愛になったのは私たちの駅に着く10分前でした。

私はもう今度こそ別の道へ行く彼に"貴方が初恋の相手だったよ"と伝えようと思ってた時でした

「…お前さ、俺の事好きだったことある?」
『…あるって言ったら?』
「俺は、あったよ。お前のこと好きだった時期。お前は?」
『私もあったよ。…小3の頃。だって、私の初恋の相手は貴方だもん』
私がそう言った時、彼も優しく笑って
「俺もだよ。小3の初恋の相手はお前だよ。俺ら初恋で両思いだったんだな」

そう彼が言った時、電車は私たちの駅に着きました。

『11年同じクラスメイトで、それでも私達は恋人にはならなかったね。初恋で両思いだったなら告白しておけばよかったのかな』
電車から降りて冗談交じりに私はそう言うと
「けど、それだったら11回も同じクラスにはならなかったと思う。…俺は、お前とクラスメイトとして楽しい思い出を作れて良かった。ちゃんとお前には俺の初恋の相手だって伝えておきたかった」
『…私も、ずっと知りたかったんだ。あの時好きだったのは私だけだったのかって。答え合わせ、できてスッキリした』

私達は笑って別々の道へと進みました。


もう同じクラスになることは無いけれど、私にとって初恋の相手と11回同じクラスで過ごした思い出は今も色褪せていません。

written by せな

エピソード投稿者

せな

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