『誕生日』

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『お仕事お疲れ様でした!』

私はあなたにチョコレートをひとつ渡す。

『今日、新しい案件取れてよかったですね!おめでとうございます!』

私はあなたにお茶を一本渡す。

『出張って大変ですね・・・今日はホテルで休んでまた明日頑張りましょう!』

私はあなたにシュークリームを一つ渡す。


あなたに渡していたのは物じゃなくて気持ちだった。

あなたを労わる気持ちだった。

あなたと喜びを分かちあう気持ちだった。

あなたを励ます気持ちだった。

ただただ、あなたのことが大好きだった気持ちだった。


でもその思いは一方通行。いつも私からだけの大切な思い。

それはとても辛いけど、見て見ぬふりしてきた。

今日はあなたの誕生日。

『誕生日おめでとうございます!素敵な一年を過ごしてください!』

言おうと思った言葉。いつもなら伝えていたはずの言葉。

あなたにとって、私にとって、一年で一番大切な日だったけど、伝えなかった。


最初で最後の私の抵抗。きっと後悔するだろう、私の抵抗。


大好きだけど、私は離れます。

あなたは気付くかな?私の思いに。

『大好きだった』私の思いに。

written by あもん

エピソード投稿者

あもん

男性 投稿エピ 11

「聞いて目の前に浮かぶ、ショートストーリー」を目指して、頑張って作ります。