小さな片想い

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私は高校生の頃、吹奏楽部に所属していました。
楽器はトランペットでした。

2年生の時トランペットのプロだった方が吹奏楽部の顧問になりました。その先生が

「僕もトランペットだったんだ。いつか一緒に演奏しようね」

と言って下さったんです。その瞬間、私は先生を好きになったんです。一目惚れでした。
そして、その言葉の通り先生は時間を見つけては一緒に吹いて下さいました。

しかし初恋だった私は上手く気持ちを抑える事ができず、先生を避けるようになったんです。ワザと嫌っているような態度をとり続けました。もちろん一緒に演奏する事も無くなりました。

好きなのに避ける…それがどんどん辛くなっていき、私は生徒会に入ることで部活に行く時間を減らしたのです。
放課後はトランペットよりも生徒会室で資料を触る回数の方が増えていきました。

避ける毎日が続いたある日
基礎練習を終え曲練習に移ったその時、私一人の教室に先生が入ってきました。
何度も会っているはずなのに、一対一で会うのは久しぶりで懐かしくて泣きそうになりました。そんな私を他所に、トランペットを出してきたのです。驚いて曲を止める私に

「続けて」

と言い、合わせてきました。
あまり触っていないから私の音はとても汚い。けれどその音を先生が包み込むように吹いてくれている。それがとても嬉しかったです。

その後、特に変わった事は無く避けたままでした。
けれど卒業式の時に

「今までありがとう御座いました。」

と勇気を出して言いました。
告白はできませんでした。
でも、まだ先生が独身だという噂を聞いたので
成人したら会いに行こうかなと思っています。

成人まで後1年。今度は避けずにアタックしようと思います。



written by みくり

エピソード投稿者

みくり

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