素直さが欲しかったあの日

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私がその人を好きになったのは小学4年生の時です。
その子は根っからの野球少年でしたが、ちょっかいを出すのが好きな所謂やんちゃっ子でした。
嬉しい事に、その子とは家が近くだった事もあり
登下校は自然と一緒にしていました。
お互いにちょっかいを掛け合いながらも、バレンタインは恥ずかしさが勝ってしまいなかなか渡せませんでしたが、6年生の時に勇気を振り絞って渡す事を決めました。
友達にも色々相談をすると皆が協力してくれ、やっとの思いで渡す事が出来たのです。
そして、ホワイトデー当日。
その子とはクラスが別々だったのですが、終礼の時に廊下を見るとその子が他の友達と一緒に帰る姿が見えました。
「あー、お返しはないかなぁ…」なんて思って、教室を出ると後ろから私の名前を呼ぶ声が…
なんと、その子は隠れてずっと待っていてくれたのです!
帰ったと思っていたのにそこにいた事がとても嬉しかったのに、さらに向こうは恥ずかしそうに何かをこちらに投げてきました。
キャッチしてみると、私の大好きなゼリーの詰め合わせでした…
とにかく嬉しくてお礼を伝えようとすると、彼は走って逃げてしまいました。
でも、帰り道は一緒なので走って追いつきお礼を直接伝えると何も言わずに頭を「ポン」と優しくしてくれ、私は思わず泣いてしまったのです。
そこから私達は同じ中学になりましたが、思春期に入ると恥ずかしさでお互い話す機会も少なくなり、前のように関わる事が無くなりました。
そんな時に彼が「引っ越す」と噂で聞いたのです。
転校ではなかったのがまだ救いでしたが、
また1つ関わりが無くなった事に大きなショックを受けました…
中学2年生のバレンタインでは、本人がいない時を狙って彼のカバンにこっそり野球のキーホルダーを入れましたが、その年はお返しはありませんでした。
あー、もう終わったなぁ…なんて考えながらいると、あっという間に私達は卒業式を迎えました。
最後に写真撮りたいなーなんて思っていましたが、なかなか声を掛けられず、彼が帰路につく姿が見えました。
諦めようなんて思っていると、なんとおもむろに私の母が猛ダッシュ!!
何をするのかと思いきや、彼を呼び止め写真を撮ろう!と話してくれたのです!!!
母のおかげで2ショットを撮ることができ、本当に嬉しかったです。
それからは高校も別々になり、全く連絡も取っていません。
今は、嬉しい事に私は婚約している方がいますが、たまにその子の事を思い出す事があります。
彼も幸せな家庭を築いている事を願います。

written by ラッコ

エピソード投稿者

ラッコ

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