高校1年生の時、1つ年上にバスケ部の先輩がいました。
顔見知りなだけで話したことの無い、ただ私が一方的に知っているだけの先輩。
先生や先輩、後輩から慕われている姿、バスケ部のキャプテンとして全力で頑張っている姿を見かける度に、凄くいい人なんだろうなあと思い、気が付いたら私はその先輩に憧れの感情を抱いていました。
そんな遠目で見ている私に、同級生で男子バスケットボール部のマネージャーをやっていた友達が
『バレンタイン渡そうよ!』
と言ってきました。
でも料理に自信ないし、ましてや喋ったことも無い。どうしようか、すごく悩みました。
そしてやって来た、バレンタインの日。
念の為作ったカップケーキとクッキー。
だけどどうしても恥ずかしくて、友達に渡してもらうことにしました。
『ちょっと待っててね』
『うん、お願い』
なんて平常を装いながらも、不安と緊張で心臓はバクバク。
受け取ってもらえなかったらどうしよう、ましてや先輩は私の事知らないだろうし…
私は角の階段の所で友達の帰りを待っていました。
するとしばらくして
『〇〇ちゃん?』と声が。
そちらを見ると、憧れの先輩が私の前に立っていました。
『は、はい!』
とやっとの想いで答えると
『ありがとうね!大事に食べます!』
と、喋ったことの無い私に笑顔で話しかけてくれました。
見ず知らずの私にも優しくて、本当に素敵な人だなと思いました。
それから1ヶ月後のホワイトデー。
友達に呼ばれて廊下に行くと、先輩が居ました。
なんと私の教室までわざわざ来て、素敵なお菓子をお返ししてくれたのです。
私は恥ずかしくて、ずっと友達の後ろに隠れてたけど…だけど本当に嬉しくて、幸せでした。
それ以来何も進展は無かったけれど、
人としても尊敬していたそんな先輩ことが、きっといつの間にか好きになっていたんだろうな、と思います。
今将来の夢を叶えて社会人になっている先輩と学生の私。
いつかまた、先輩にどこかで会いたいです。
written by ナッツ
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