これは、私が大学四年生の時、母校の高校に3週間教育実習生として活動した時の話です。
ホームルーム担当になったのは、私が在校中にはまだいなかった私より7つ上の理科の先生。赴任してきたばかりで、初めは冷たい印象の人でした。
始めの1週間、緊張しまくりの私を見かねたのか、先生が実習生だった頃の実習日記を貸してくれました。とても大切な物だったようでしたが、「参考にしてくれたら嬉しい」と厚意で貸してくれたようです。日記は、事細かく記載されていて、先生が非常に真面目で熱心だった事が分かり、尊敬の念が高まりました。そこから、先生が始めよりも話してくれるようになり、実習以外の砕けた会話までできるようになり、次第に先生に惹かれていきました。
2週間が過ぎた頃、居残りをして授業を作っていた私に先生がふいに「今日、一緒に帰る?」と言ってきたのです。周りに人が居なくなったのを見計らって、駅まで先生と帰りました。実習以外の楽しい会話。この時、完全に先生の事が好きになっていました。
想いが募りに募り、実習が終わってしまったらもう会えなくなる事が寂し過ぎて、私は最後の日に想いを伝えるための手紙を書きました。
実習期間はあっという間に過ぎ、気付けば最終日。担当のクラスのみんなから寄せ書きをもらいました。ありがちな展開ですが、先生が生徒に「書いてやれ」と言ってくれたそうです。お礼を言うと「思い出に残るからさ。」と言ってくれました。
最後のホームルームの後、各お世話になった先生お礼をして回り、最後に先生の所へ。勇気を出して帰り支度をしていた先生の鞄に手紙をすっと入れ、「良かったら読んでください」と赤ら顔で言いました。
手紙には、実習のお礼、好きになってしまったこと、私のLINEIDを書きました。
実習が終わって一ヶ月。文化祭があったので、生徒達に会いに高校へ行きました。そこには先生もいたので、急に変な手紙を渡してしまった事を謝りました。すると、何故か私は涙が止まらなくなり、見かねた先生は誰もいない面談室に私を連れていきました。そこで、このように言われました。
「想ってくれるのは、とっても嬉しい。ありがとう。でも、今は、彼女とか考えていないんだ...俺、今年で29だよ?3週間で好きかもって錯覚しただけじゃないかな...?でもね、これからも相談乗ることはできるから連絡していいよ」
と言われました。付き合って欲しいなんて、到底思っていませんでしたが、錯覚と言われた事が引っかかって、泣きながら家に帰りました。
written by private
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