弾くと思い出す

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私が中学3年生のときの話しです。
合唱コンクールの際、クラスでピアノが弾ける子がいなくて、伴奏を引き受けました。
ピアノは小さい頃から習ってましたが、曲が難しい上、人前で弾くのは得意ではないので、正直とても嫌でした。
でも、指揮者の男の子から
「一緒に最後まで頑張ろうよ!俺も頑張るから!」と励まされ、頑張ってみようと前向きな気持ちになりました。

そんなある日、放課後の練習がうまくいかず、彼が落ち込んだ様子で早々に帰ってしまいました。クラスの中心的でいつも明るくて、何かしらからかってきたりする彼が落ち込む姿を私は初めてみて、明日は他のクラスとのリハーサルがあるのに…と心配になりました。
そこで、彼に連絡してみよう!と思い、メールをしました。ただ、彼のアドレスは知ってましたがメールをするのは初めてで何て声をかけたら良いのか困ってしまい、本当はわかっているのに
「明日の時間割教えて」って誤魔化した内容でメールをしました。彼から、すぐに返信がきて、そのあとに「ありがとう。合唱コン本番ちかくなってきて、大変やけど、一緒に最後まで頑張ろうね!○君がいるから私も心強いよ。明日もよろしくね。」
と2回目でようやく自分が伝えたかったことを送れました。

次の日、彼はいつもの明るい様子に戻っていて、一安心。
しかし、私がリハーサルで伴奏が緊張のあまりテンポがバラバラになり、みんなを困らせるまでの失敗をしてしまいました。
リハーサル後、私はみんなに迷惑をかけてしまった罪悪感から教室に戻ってから大泣き。最初はクラスの女の子たちが慰めてくれましたが、それでも悲しくて、悔しくて、放課後ひとり教室に残り、机に伏せて泣いてました。

そしたら、背中をとんとんと軽く叩かれました。
振り向いたら、彼でした。
「何でお前が泣くとよ?みんなお前が悪いとか思いよらん!お前のせいじゃないけんね!」
「…みんな心配しとった。一緒に最後まで頑張ろうって約束したやろ?」と
頭を撫でながら、私が泣き止むまで側にいてくれました。多分、その瞬間です。私は明るくて、頼もしくて、優しい彼のことが好きなんだと自覚しました。


彼やみんなに心配かけちゃいけないと思い、次の日から本番までの数日間、彼やクラスの何人かに協力してもらいながら、早朝から音楽室で細かい練習をしたり最大限の努力をしました。

合唱コンクールでは、優勝は出来ませんでしたが、終わった後に彼から
「優勝は出来んかったけど、お前と最後まで出来て良かった!お前ピアノ上手いけん、自信もてよ!」と言われました。その言葉が嬉しかったのと私はピアノをこれだけ真剣に取り組んだのは初めてで音楽の勉強をしたいな…と初めてやりたいことを見つけました。

それから、彼が好きでも告白することが出来ず、中学を卒業。彼とは別々の高校へ。
私は音楽の勉強を頑張り、他県の音楽大学へ、
そして今はピアノの演奏をしたりと活動中です。

その彼とは同窓会で会って以来ですが
当時は音楽大学へ進んだことに驚きつつも、喜んでくれました。
片思いでしたが、彼のおかげで
ピアノと向き合うことが出来ました。
今の私がいるのは彼のおかげです。
ピアノを弾いてると、あの頃を思い出します。

written by みかん

エピソード投稿者

みかん

秘密 投稿エピ 1