叶わなかった恋、青くて若く、懐かしい日々

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中学時代に、一番好きだった人の話です。
その先輩は、バスケ部でした。キャプテン、そしてエースとして活躍していた彼は人気者で、ちょっとやんちゃな笑顔の可愛い人でした。同じ体育館で毎日部活に励んでいた私はそんな彼のことをついつい見てしまい、時々目が合うとその日はとても頑張ることができました。
きっかけは友達の友達だったというとこから、ですが。
SNSで連絡を取るようになり、私たちはとても仲良くなりました。文化祭の練習を裏庭でしていると、準備をサボって2階の窓から私のことを見つめていた彼、人気者なのもあり、友人たちが「先輩、誰のこと見てるんだろう?」と話し合う中、私がこっそり手を振ると、少しニヤッとしてヒラヒラと手を振り返してくれました。
その後私は生徒会に入り、図書委員長になったのですが、それを知って、普段少々問題児な彼が自分から図書委員に立候補して委員会に入ってきてくれたのです。
毎週、委員会が終わると委員たちがゾロゾロと出ていく中彼は1人だけ残り、わたしと放課後の図書室でふたりきり、という時間が増えました。
窓からの夕日と、遠くに聴こえる吹奏楽部が奏でる音色、野球部のかけ声、静かな図書館という場面が、今思い出すととても青春らしかった、とおもいます。
ある日忘れ物をして放課後に階段をのぼっていると、たまたま彼と出会いました。お互いに一瞬驚いたあと、彼は無言で近づいて来て、私の顔をじっと見つめてきます。とてもその時間を長く感じました。彼はふと我に返り、「なんでもない」とだけ言い帰っていきました。
あとからSNSで聞くと、もうすこしで、キスしてしまいそうだった、との事です。まだ中学生だった私はとても恥ずかしくなりました(少し嬉しかったのもありますが)それから委員会も終わり、校内で出会っても気まずくなることが増えました。
ひとつ年上の彼は受験期に入り、自然と会話することが減りました。別々の高校に進学し、いまでは何をしているのか、全く知りません。付き合うこともなかった恋ですが、わたしにとっては1番の青春だったと思います。
今片想いでも、恋をしている中高生たち。その感情や相手との会話ひとことひとことを大切にして、大人になっていってください。

written by さんどめの星

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さんどめの星

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