先輩との出会いは、入学式の日。
中学1年生になったばかりの私は、真新しい制服を身にまとって新鮮な気持ちで入学式に臨んでいた。
入学式も終わり、自分の教室に向かっていた……
のだが、迷ってしまった。。
私(広すぎるよぉ~!!どこがどこだか分かんない…)
半泣きになりながらきょろきょろ動き回っていた。
私(こ、このまま…たどり着けなかったら・・・どうしよう~~~~!!)
焦っていた私は、
『誰か助けてえええ!』と思いっきり叫んだ。
すると、かどの方から笑いを推しこらえたような顔をした男の人が出てきた。そして、指を指しながら
先輩『一年生の教室はそこ曲がればすぐだよ』
私『あっ、ありがとうございます!!』
と、教室に行こうとすると
先輩『て言うか、学校で遭難って、、笑笑』
そこで、我慢してた笑いが吹っ切れたようにゲラゲラ笑い始めた。
私(し、し、失礼な……っ!)
先輩『まあ、これから何でも聞いてよ!先輩何だからさ。じゃあね~』と笑顔。
私『じゃ、じゃあ』
先輩の最初のイメージは変な人。
けれど、何かと私を気にかけてくれた。
先輩は、私と同じバスケ部で分からないことがあればよく教えてくれたし、何よりバスケを真剣な眼差しでしている姿が格好よかった。
私(いつも、あんなにふざけてるのにバスケの時だけ変わるって……反則だよ先輩。)
そして、いつしか先輩とは凄く仲良くなっていた。いつものように他愛のない会話をしていると、
『こんなに気の合う後輩初めてだわー!笑』
と私に言った。
私(やっぱり、、先輩の中では私なんかただの仲の良い後輩なんだ…。私は……先輩のことが。)
ぐっとこらえた。
この関係を壊したくなかったからだ。
私(いいんだ、これで。)
月日は流れて、私は中2に先輩は中3になった。
そして、前よりも先輩と仲良くなっていたが
先輩には彼女が出来た。
私(やっぱり……、。神様のバカ。)
そして、先輩と彼女の姿を見ると胸がチクチク痛んでどうしようもない気持ちになった。
私(もう、関わるのを……辞めよう。苦しいだけだ。)
先輩と関わるのを辞めて、話を一切しなくなった。最初の頃は先輩が気にかけて声をかけてくれたが答えず、いつかは先輩からも声をかけなくなっていた。
けれど、モヤモヤは広がるばかりで何だかつまらない日常のような気がした。
私(やっぱり…先輩がいないなんて。考えられないよ。)
そして、ついに卒業式の日。
先輩との別れの日にでもあった。
その凛々しくて立派な先輩の姿。その姿を見て、私の気持ちに決心がついたような気がした。
『先輩に、気持ちを伝える。』
そして、卒業生の見送りが行われたとき、
真っ先に先輩の姿をさがした。
『先輩、先輩、・・・・』
必死に姿を探した。
そして、人混みの中に先輩の姿があった。
私『先輩!!!』
すると、驚いたように振り返った。
『花帆…?』
先輩の腕を人混みをかぎならが引っ張り
人気が無いところに連れて行った。
先輩『ちょ、花帆…?どうし、…』
私『先輩、ずっと前から好きでした。』
と直球に伝えた。
私『本当に、今までありがとうございました。いつも面倒見てくれて、一緒に話したりするのも凄く楽しくて、バスケしてるときが一番格好よくて……それで、……それで、……。』
そこで、涙が出てきた。
抑えてたものがこみ上げてくるように。
先輩と過ごしてきた日常が頭を駆け巡りながら。
顔を上げると、先輩も泣いていた。
先輩『俺も…花帆と過ごした時間めっちゃ楽しかったよ。いつも、前向きで優しい花帆が好きだよ。
もし良ければ俺と付き合ってください。』
一瞬時が止まったような気がした。
私『え…?でも先輩には彼女が…』
先輩『実は、………花帆と疎遠になってからずっと花帆の事ばっかり考えてて…。正直な気持ちを彼女に伝えたら振られたんだ。俺ってばかだよな。何でもっと速く気づかなかったんだろう。』
そして、しばらくした後、決心がついたように
先輩『花帆、俺と付き合ってください。』
と。
嬉しくて、涙がこみ上げてきた。
私『はい……!』
精一杯な私の笑顔。
先輩に、届いたかな。
written by nano*
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