忘れられないクリスマス

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12月25日のクリスマスは、私の誕生日でもあります。
羨ましがられることも多いけど、実際には、誕生日がクリスマスのついでみたいになることが多くて、何だか寂しい私の誕生日。
中でも特に忘れられない年がありました…。

私が大学4年の時。
当時、私は1つ年上の彼と暮らしていました。
高校時代、お互いバンド活動をしていた私たちは、私が高2の夏に知り合い、私が大学進学を機に、一人暮らしを始めたのがきっかけで、一緒に暮らすようになりました。
(というか彼が居ついてしまいました。)

いわゆるヴィジュアル系の彼はロン毛にピアス、マニキュア…と、派手な見た目をしていたこともあり、私の家族は彼との交際に大反対だったけど、私は彼が大好きでした。

大きな図体をして、外では偉そうにしてるくせに、二人でいると子供のようなところが隠せない彼が、大好きでした。

彼は見た目のせいもあって、あまり良い仕事には就けず、私もバイトしていても、貧乏生活だったけど、ただ毎日一緒に寝起きしてご飯を食べて…それだけで、私はとても幸せでした。


でも、私が4年生になったころから彼は家をあける時間が増えました。
何処に行くのか聞いてもボソボソと誤魔化して、目を合わせません。
特に冷たくなったという様子はないものの、明らかに何かを隠している、そんな生活が何か月も続きました。

大学の友達に相談すると、『そりゃ、女でしょ?付き合いだして5~6年だっけ?よく続いたんじゃない?彼氏かっこいいけど将来厳しそうだし…いい機会かもよ?』と、厳しい言葉が帰ってきました。

確かに彼はちゃんと就職する様子もなく、バンドも売れる様子はなく…『このままでいいのか?』と考えなかったわけではないけれど…。

そんなモヤモヤを抱えたまま、何も言い出せずに迎えたクリスマスイブの12月24日、彼は
『今日ちょっと遅くなるかも…なるべく早く帰るけど…』と言って、朝出掛けたまま、深夜まで帰宅しませんでした。

確かに誕生日は25日だけど、いつもイブの夜から一緒に過ごしていたのに…。
しかも、わかりやすく挙動不審。
平気で嘘をつく人は嫌いだけど、彼の様子はさすがに辛すぎました。


翌朝、『昨日ごめんな!オマエ今日、夜何時ごろ帰る?』と、ソワソワした様子で尋ねる彼に、私は、『バイト終わって…8時くらいかな…』と不機嫌に答え、出勤しました。

そして、バイトが終わり、8時過ぎに帰宅すると、部屋は真っ暗。
彼はいませんでした。

誕生日の当日までいない…しかも、帰宅時間を知っているのに。

『やっぱり、もうダメなんだ…』

そう思うとさすがに泣けてきて、それまで溜まっていた気持ちが止まらなくなったみたいに、涙がとまらなくなりました。

そうして、かなり泣き崩れたところに、彼が帰宅したのですが…

何故か彼はサンタ服に大荷物で、息を切らせていました。

そして、めったに泣いたことのない私がボロボロに泣いていたせいか、大変に驚き、
『な、泣くことないだろ!遅くなって悪かったよ!もう泣くなよっ!!』と慌てふためいて、
『そうだ、これ!これ!!』と、小さな箱を差し出しました。

箱の中には、小さなダイヤ?のついた銀色の指輪が入っていたのですが、号泣した直後だったり、彼がサンタ服だったりで、色々取り乱していた私には、何が何だか理解できませんでした。

すると彼が、
『えっと、その…誕生日おめでとう…つか、メリークリスマス…つか……結婚してください。』
と、まさかのサプライズプロポーズ。

結局、ずっと謎の外出が続いていたのも、その指輪を買うために内緒でバイトを増やしていたからでした。
そして、そのバイトも、24日にクリスマスケーキの売り子をして終了するはずだったのが、25日に急に欠員が出たとの連絡があり、私の帰宅に間に合うまでになら…と手伝いに出たところ、予想以上に25日も忙しく、切り上げるタイミングを逃して遅くなったとかで、着替える暇も惜しんで大急ぎで買物して帰って来たそうです。
…サンタ服で(笑)。


今思えばあのプロポーズも、何の準備もできていないくせに指輪だけ用意して、子供っぽくてチグハグな行動だったのかもしれないけど…あの時は本当に嬉しかったです。

クリスマスが来るたびに思い出す、私の大切な思い出。

あの時の彼の必死の顔は今も忘れられませんww

written by とり乃から揚げ

エピソード投稿者

とり乃から揚げ

秘密 投稿エピ 5

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