好きと嫌いは紙一重

コンテンツ名とURLをコピーする

今でも忘れられない私の片想いの話
聞いてくれませんか?

高校3年生の時、他校から着任してきた先生がいました。イケメンだけど、チビでナルシストでわがままな子供みたいな先生でした。歳はちょうど10個上。私の好きなタイプは年下で、173cmあった私より背の高い落ち着いた人。真逆だったし何よりナルシストなところがどうしても好きになれませんでした。どっちかと言えば嫌いでしたね。
後輩のクラス担任になったので、後輩からよく愚痴を聞かされてたんです。
担当の学年が違うから関わることもないだろうと思っていましたが、ある日共通の知り合いがいることが発覚!びっくりしすぎて思わず声を掛けました。

「先生、〇〇さん知ってます?」
「え。なんでお前が知ってんの?」

この会話から先生と仲良くなることが出来ました。

12月、みんなが受験モード一色の中、私は悩んでいました。第一志望の大学には親から許可がもらえず行くことが出来ない、他の大学には行きたくない、就職や短大・専門学校への進学は許してもらえない。そんなことならもう高校すら辞めてしまいたい。そう思って担任に相談しようと職員室へ行くと、職員室前には先生がいました。

「何してんの?なんか悩んでる顔してんな、ぶっさいくやで(笑)」
「うるさいなあ…どうせブスですもん」
「…なにがあった?優しい俺が聞いたるわ」
「先生に話したところでどうにもなんないと思いますけど…」
そう言いながら私はゆっくり事情を話し、辞めようと思うと伝えました。

「ふーん。まあ、お前が決めたんならいいんちゃう?」
「それ、先生が言うセリフ?(笑)」
「まあでも、せやな。お前がおらんくなったら俺が寂しいから、ちゃんと卒業してくれや」
「……は?今なんて言いました?」
「いやなんも?(笑)ま、そんな気落ちすんな!俺みたいな奴が教師なれてんねん。人生なんとかなるわ!」
「あははっ(笑)先生ありがとうございます。元気出ました。先生のために卒業までいてあげますね(笑)」
「なんの話やねん(笑)」

最後に先生は照れ笑いしながら「がんばれよ」と頭をポンとして職員室に入っていきました。職員室前で何をしていたかは謎ですが、それと同時に私は先生への恋心を確信してしまったんです。

それから私は必死で進路を決め、最後の願書提出に間に合いました。受験当日、緊張で震えが止まらなかった私に、後輩からメールが来ました。私の学校は校内での携帯電話の使用は禁止。びっくりしてメールを読むと「先生から伝言です!お前ならできる、合格したらチュッパチャプス奢ったるから頑張って来いよ。とのことです!」笑わずにいられませんでした。
先生はチュッパチャプスが大好き。「自分が食べたいだけやろ(笑)でも先生ありがとうって言うといて」そう送って受験に臨みました。

後日来た通知は「合格」
倍率は10倍。嬉しくて涙が止まりませんでした。
一番に報告したのは迷わず先生でした。
「先生!チュッパチャプス奢ってくださいよ?」
「なに?合格したん?」
「はい!倍率10倍で合格!すごくないですか?」
「え、まじ?やるやん(笑)」
と言いながら見たことないくらいの笑顔で「おめでとう」と頭をポンとしてくれました。
「えへへ…ありがとうございます」
私はすごく照れながらそう言いました。

あとからメールをくれた後輩に聞いた話では「先生が責任取るから先輩にメールするよう言われました。先生のセリフそのまま送りましたよ」とのこと。ますます大好きになってしまいました。

それから卒業までの1ヶ月、1日1回先生と話すのが日課になっていました。しょうもない話ばかり。今日は何食べた、昨日こんなことがあった、そんな話ばっかり毎日、毎日。おかげで職員室の先生全員に私が先生を好きなことがバレていました。先生もたぶん気付いていたと思います。それでも気付かないフリして毎日話してくれました。

卒業式当日。サッカー部の顧問だった先生は、部活の集まりで忙しく会う時間がありませんでした。最後の日に会えないのかあ…と残念に思いながら帰ろうとした時、後ろから名前を呼ばれました。振り返るとそこには先生の姿が。

「俺に会わずに帰る気?(笑)」
「いやだって、先生サッカー部は?」
「抜けてきた」
「抜けてきた?!大丈夫なんですか?」
「大丈夫やろ。それより今はお前」
「…先生!2ページ空けときました。いーっぱいメッセージ書いてください!(笑)」
「そんな書けるか!ばーか。しゃーないなー」
そう言いながら先生は2ページ目の右上に大きく「卒業おめでとう!!〇〇(先生の名前)」とだけ書いて渡してきました。

「ちょっと!もったいない…せっかく空けてきたのに」
「何言ってんの。その空白はお前と過ごした楽しかった時間やん。それじゃ足りんくらい楽しかったよ、卒業おめでとう!」
「…ありがとう、先生。これ手紙、書いてきたんで帰ったら読んでくださいね!」
「お、ラブレター?ありがとう(笑)」
「あははっ(笑)先生のおかげで卒業できました。ありがとうございました。最後までチュッパチャプス奢ってくれなかったけど、感謝してますよ(笑)」

そう言うと先生は照れながら「こちらこそありがとな」と言ってくれました。一緒に写真も撮ってもらいました。
手紙には感謝の気持ちと、大好きな気持ちを書きました。メールアドレスも書いて連絡も来ました。
手紙も合わせて3回、先生に告白しましたが一度も返事をいただいてません。ちなみにチュッパチャプスもまだ奢ってもらってません(笑)

それから彼氏が出来たりもしましたが、25歳になった今でも「一番好きな人」はずっとずっと先生です。

先生、お元気ですか?私は今日も先生がだーいすき!ですよ。

written by ゆち

エピソード投稿者

ゆち

女性 投稿エピ 1