いつまで幼馴染?

コンテンツ名とURLをコピーする

2年前、人に勧められて参加した街コンで幼馴染のよし君に再会しました。

私の方はほとんど忘れていて、顔を見ても名前も聞いても全然分からなかったのですが、
よし君の方は私の名前を見て気付いてくれたようで、
「小さい頃うちに預けられてたゆうちゃんだよね?!」
と声をかけてくれました。
親どうしの職場が離れてから、私たち自身は全く会わなくなっていたので、20年ぶりの再会でした。

その日の街コンはお互い別の人とカップリングが成立したのですが、相手を差し置いて連絡先を交換。
地元を離れたところで、しかも40対40の大人数の街コンでの偶然最初の席の相手だったこともあり、ふざけて「これは運命だよね」と言い合い、すぐにご飯に行く約束をしました。
この時点ではひたすら偶然を面白がっていただけで、恋愛感情らしいものはありませんでした。
しかしその後もカラオケに行ったり、ドライブしながら喋り尽くしたり、2人で遊ぶのがとても気軽で楽なことに気がつき、私は付き合えるなら付き合いたいと思うようになっていきました。

ただ、互いの恋愛観や結婚観が全く違うことは話しをしてきた中で知っていました。

「俺付き合ったら彼女とはずっと一緒にいたいタイプなんだよね〜」
「私はダメだなー…1人になる時間が大切だから、時々会えればいい」
「俺は結婚して、奥さんと子どものために働きたいんだよ。趣味とかあんま無いからさ。働くのは嫌いじゃないけど、この歳になって働く意味が欲しくなってきたんだよね」
「私は自分の趣味が多すぎるから、それを認めてくれる人じゃないと結婚できないと思う。というか、彼氏はほしいけど結婚願望はないんだよね。私の職業だとお金で苦労かけると思うから、子どももいらないなぁ」

こんな感じで正反対でした。
でもお互いのことは認めていました。

「ゆうちゃんはすごいね、自立してて」
「違うよ、自分勝手なんだよ。誰かのためにって思えるよし君がすごいよ」
「俺、ゆうちゃんみたいにはなれないし、全然感覚わからんけど、ゆうちゃんのことすごく尊敬はしてる」
「私もだよ」
「俺わりと人見知りだし、変な気遣うからさ。こんなふうにずっと喋ってられるのも楽なのもゆうちゃんだけだよ」
「私もよし君といるのすごく楽だよ。彼氏ともこんな頻繁に会ったことない」
「はは、それはすごい」

しょっちゅうこんな風に話すのに恋愛には発展しませんでした。
恋愛観や結婚観が違いすぎて、付き合ったとしてうまくいく気はしていませんでしたし、私も楽だなぁというだけで、まだはっきり好きだとは思っていませんでした。
しかもよし君は本人も自覚のある面食い。私の顔は好みじゃないだろうなぁと思っていたし、面食いなことに対して「しょーもない」「自分はイケメンじゃない癖に」と思う気持ちもあったので、なかなか「好き!」まではいきませんでした。



そんなことをしてるうちに、よし君から連絡が来なくなりました。

私も忙しくしてたので、連絡が来なくなって2ヶ月くらいはこちらからも連絡しませんでした。でも、どうしても仕事のことで聞いてほしい愚痴ができて、「会えない?」と聞くと「喫茶店に集合で」と言われ、あれ?と思いました。
今まではうちの近くまで絶対迎えに来ていてくれたのに…
おかしいな、と思っていると、案の定好きな人ができた、と伝えられました。まだ正確には付き合っていないけど、告白はしていて、返事待ちだと。仕事に対してストイックなところが尊敬できる。バツイチ子持ちの女性だが、1人で頑張っているところも助けてあげたい、と。幸せそうに話してくれました。
その後は私の愚痴を聞いてもらいその日は終わりましたが、しばらくしてから付き合うことになったと聞かされました。
「良かったじゃん!」「おめでとう!」
自分がどんな顔をしてしまうか不安でしたが、笑顔で言うことができてホッとしました。

何も始まらず、何もなく終わったなと思っていました。
結局決定的に好きだと自覚もしないままでした。
その後私も彼氏ができて、またよし君と連絡をとらない日々が続きました。

けれど、寒くなってきた頃。もう9時過ぎでした。
よし君から突然電話があり、「今から会えない?」と言われました。びっくりしましたが、言われた通りいつもの喫茶店に行きました。

「いきなりどうしたの?!」
よし君は軽く笑いました。
「聞いてほしいことがあって。彼女とのこと」
一瞬ドキッとしました。まさか、結婚するとか?!
「え、なになに?!」
わざと明るく聞きました。
「いや、ごめん。いい話じゃない。俺…浮気されてた」
「…は…??」
何と言っていいか分からず、よし君をジッと見てしまった覚えがあります。言われてみると、よし君は少しやつれたように思えました。
「彼女、実はちょっと複雑な子でさ。バツイチって話はしたと思うけど、元旦那の暴力がひどくて別れてる。その後すぐ彼女の父親が亡くなって…いろいろ大変だったみたいでさ。その時助けてくれた父親の友達って男性と不倫してたんだ」
「え…不倫ってことは男性の方は家庭があるの?」
「そう。でも絶対終わらせて来なって約束して、別れた、連絡先も消したって言われて俺と付き合うことになったんだけど…なんか、こないだ偶然LINEしてるの見つけてさ」
「えーでも…LINEくらいなら…」
「好きとか、会いたいとか、送ってても?」
「それは、…アウトだね」
「だから俺問い詰めた。確信がないこともカマかけたら図星だったらみたいで、まだその男と続いてること認めたよ」
「そうなんだ…」
「俺悔しくて。こんなに人に怒りを覚えたことない。どうしたらいいかわからない。まだ好きなのに許せない」
よし君は苦しい顔をしていました。
そんなよし君を見ていると、じゃあ私にしなよ!と言ってしまいそうでした。でも、私の口から出たのは変に大人ぶったきれいごとでした。
「よし君、彼女がしたことは許せないことかもしれないけど、だからって彼女の尊敬してたとこまで全部否定して嫌いになることないって。話し聞く限りだいぶ複雑な事情があるんでしょ?それにつけ入ってる相手の男のことを私は許せないけど、彼女のことはなんか女として責めれないよ。彼女は反省してるだろうし、ちゃんと話し合って、ちょっと様子を見てもいいんじゃない?」
私がそう言うとよし君は少し安心したように頷いて、
「ゆうちゃんがいてくれてよかった」
と言いました。
「でしょ。私が何かあった時はよし君が話聞いてよね」
「それはもう、絶対」
ああこれでいいかな、
こういう関係でいいのかもしれない。私も今は彼氏がいるし。
彼氏以外の異性にも頼る人がいるって助かるし。
そう自分で納得させました。


しかししばらく経って、私は彼氏と別れました。
そのことをよし君に伝えると、よし君も彼女が結局浮気相手との関係を切りきれず別れてしまったことを伝えられました。


そうして私たちはまた定期的に遊ぶようになりました。
今までもよし君と遊ぶときは随分甘やかされていたのですが、前より一層甘やかされるようになりました。


「ゆうちゃん鍵持った?」
「うーん…?持ったかなぁ…?」
「あーもう、俺が預かっとくから貸して!」

と、無くしものをしやすい私の世話を何かと焼いてくれたり。

「今日はありがとう。遅くなったから真っ直ぐ帰ってね」
「いやー実はお母さんとケンカしたから帰りたくないんだよね〜ドライブでもするわ」
「え、そうなの?でもダメだよ。ゆうちゃん1人でドライブなんて危なすぎる」
「いや私もう27だよ…」
「ダメ。すぐ帰るか、俺とドライブするかどっちかにしな」
「あ、じゃあお願いします…」
「てかそういうことは早く言いなさいよ。何時まででも付き合うって」

と、子ども扱いされたり。


バイト終わりに駐車場に行ったらよし君が待っていて誕生日プレゼントを渡されることもありました。
友達の恋愛のゴタゴタに巻き込まれて友達の彼氏から恐喝されたこともよし君に話すと「俺が守るから大丈夫」と歯の浮くようなことをサラッと言ってくれて、それで私は安心感を得ていました。



それでも恋愛に発展していきませんでした。


なぜかというと、やはり会話の中に友達以上にはなれないんだろうなという要素が混じるからです。

彼女と別れたよし君は、アグレッシブに出会いを探していました。そしてそれを報告されるのです。
「俺今度街コン行くことにした」
「今度仕事先のおばさんの知り合いの子紹介してもらうんだ♪可愛い子だったよ」
「ゆうちゃんの友達でいい子いないー?」(これは冗談半分で言ってましたが)

そして
「ゆうちゃんはどう?彼氏できたら絶対俺にも教えてよ。」
「ゆうちゃんはもう妹みたいなもんだから。結婚式も絶対出席するから」
と言われていました。
言葉の節々から、絶対私は彼の恋愛対象ではないんだろうなと感じました。念押しをされているようにすら感じる時がありました。


私の方も決して一途ではなく、気の多いタイプです。他に気になる人ができれば、その都度よし君に話をしてしまっていました。
「私は今度〇〇くんとご飯行くんだ〜」
「それ前いいかもって言ってた人じゃん!頑張ってね!!」
もちろん妬いてくれないかなという期待込みでしたが、よし君はいつも心の底から応援してくれているようなので、そんな浅はかな考えは無駄だということはわかっています。

でも、気になる人と遊んでいた日でさへ、よし君から連絡が入るとそちらに行ってしまいます。
そんな私をよし君はなんて思っているのでしょうか。
ただ、幼馴染思いなんだと片付けているでしょうか。


「幼馴染だから、俺らは特別だよね」
何かと言っては、よし君がよく言う言葉です

特別と言うのは、ずるいなぁと思っています。


よし君と付き合うのはムリだと悟った私は、今年の夏に縁のあった男性と付き合うことになりました。
そしてその後すぐよし君にも彼女ができました。小柄な可愛い女の子でした。
今度こそお互いの相手とうまくいけば…と思っていました。

しかし、しばらくして私が彼氏に不満を抱くようになりました。
女だから、男だからと言うのは古いと思いますが、やはりレディーファーストの精神をもって接してくれると女は安心して頼ることができるものではないでしょうか。
恋愛経験が少ないためか、元々の性格か、彼にはそれがなく、夜会いに行って深夜1時くらいに帰るのも何も心配もされず。私が実家で自分がアパートだからか、私が行くのが当たり前と思っているようでした。デートに行くときも「現地集合?それともうちに来てくれる?」の二択だったときは目が点に。更には明らかに私と自分の稼ぎに差があるのにも関わらず、必ず割り勘。なんなら私が多めに出していてもそれに気づきもせずお釣りを持っていってしまうタイプでした。
甘えん坊気質で、膝枕や腕枕をするのはいつも私。なぜか流れでそうなっていくんです。膝枕はともかく、なんで腕枕の位置に自然にいけるの?女の子なの?とモヤモヤ。
極め付けは自分が落ち込んだとき私の仕事中に職場に来て、気を遣って彼を中にいれてくれた私の上司と長時間喋っていくという出来事が。(私が完全に聞く耳持たなかったため上司が対応してくれました)その後それはさすがに怒りました。
私のことを好きなのは態度で分かるのですが、あまりにも頼れなく、イライラが募り、ついにまたよし君を呼び出して愚痴大会をしてしまいました。
そしてそのタイミングでよし君が彼女にフラれ、再びよし君に私をかまえる時間ができてしまいました。

やっぱりよし君といると楽だし、気を遣わない。喋っていて楽しい。何より精神的にものすごく頼れることを改めて確認してしまいました。
だから彼氏とは別れよう、今度会ったら伝えよう。と思いました。


でも、よし君には恋愛対象ににされていないのに、どうしたらいいんでしょう。
また別の彼氏を作って、不満ができるたびによし君に愚痴を聞いてもらう繰り返ししか想像ができません。


「幼馴染だから特別」
よし君のこの言葉に縋っているのは私です。
これは恋なのか、依存なのか、それすらもう分からなくなっています。
私たちは、いつまで仲の良い幼馴染をやっていくのでしょうか。


written by ゆう

エピソード投稿者

ゆう

女性 投稿エピ 1