幼馴染みがカッコよく見えた日

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これは私が小学6年生の頃の話です。
その日は突然の雨が降った日でした。
掃除が長引いてしまい、ほとんどの人が帰ってしまっていたので、傘を持っていない私には濡れて帰る選択しかありませんでした。
走って帰ろうとしたその時、
「おい」と後ろから声が聞こえ、振り返ると、
そこにいたのは隣の家に住む幼馴染みでした。
「うわ、びっくりした!なんで残ってるの!」
幼馴染みは掃除の班ではなかったので、
既に家に帰っているのかと思っていました。
「…お前傘どうせ持ってないんだろこのバカ」
「バカとはなによ!」
そうしていつもの言い合いが始まりましたが、
「…使えば」
そう言いながら彼は私に傘を差し出しました。
もしかしてその為に待っててくれたってこと?
「だ、大丈夫だって!私濡れても風邪とか引かないし、むしろあんたのがいつも風邪引くじゃん!」
と私が言うと、グイッと手を引かれ
「いいから!使えって言ってんの!」
無理矢理私の手に傘を握らせます。
その瞬間、私の背丈に合わせてかがんでくれた彼の顔が目の前にあり、
さらには触れた手が恥ずかしくて、
私の心臓は爆発寸前でした。
「……ありがと……う」
彼の顔をまともに見ることができず、下を向きながらお礼を言いました。
「お前が雨に濡れてこれ以上ブスになったら大変だからな!!」
「……うっさい、ばか!!!!!」
彼は雨の中走って帰って行きました。
ちょっとでもドキドキした自分がバカみたい、と思いましたが、
その後ろ姿はかっこよくて、ただの幼馴染みだった彼が、男の子に見えた瞬間でした。
チラッと見えた彼の横顔が真っ赤に染まっていたので、最後に言った言葉は照れ隠しだったのかなと、思ってしまいます。
家が隣だから一緒に傘に入れば良かったのになと今になれば思いますが、当時の私達はお互いシャイで、周りにからかわれることも気にしていたので、こうなったんだと思います。
その後、恋愛的な方向に発展することはなかったけれど、
お互い相談に乗ったり、乗ってもらったり、
今では最高の友達、もはや家族同然の様な、
私にとって大切な人になっています。









written by こうめ

エピソード投稿者

こうめ

女性 投稿エピ 1