きっと、叶うわけがない。
そんなこと、始めから分かっていた。
当時中1だった私は、中2の先輩の事が好きだった。
学年が違うから会う機会も少ないし、先輩と後輩と言う壁もあった。
だから、いっそこのまま好きと言う気持ちは心の中に閉まっておこうと思った。
そして、季節は流れて体育祭の日が来た。
この日私は、選抜リレーの選手として
全体混合リレーに出ることになっていた。
全体混合リレーは、学年が違う人どうしで
ペアになって走るものだ。
チームの人を見ると、先輩の名前が載っていた。
今まで近づけたことが無かった先輩に。
嬉しさがこみ上げてきた。絶対に優勝してやると。
そして、全体混合リレーが始まった。
私『先輩の前に走るから緊張するなあ…』
よーい。どん!
勢いよく最初の人がスタートした。
順調にバトンも回っている。
けれど、3番の人が転んでしまった。一気に順位が落ちて、3位になってしまった。
けれど、私は決めていた。
私『どんな順位でバトンを渡されたとしても、先輩に1位でバトンを渡す。』
3位でバトンが渡されて瞬間、今までの力を振り絞って全速力で走った。チームメイトの声援が聞こえる。その声の中は先輩がいた。
先輩『抜かせー!頑張れ!!!』
その声を聞いた瞬間、今まで出たことの無い
スピードが出た。
そして、前の二人を抜かしてやると。
無我夢中に走ると、前の一人を抜くことができ、
そのまま2位で先輩にバトンを渡した。
私『頑張ってください!』と渡すと、
笑顔を見せてくれた。
次の瞬間、もの凄いスピードで先輩が走った。
私『頑張れー!先輩ー!!!!!』
1位との差をどんどん縮めて最終的にぶっちぎりの1位でゴール。
その瞬間、チームメイトと肩を組んで喜び合った。
すると、突然肩を叩かれた。振り返ると、先輩
がいた。
先輩『君のおかげで力が出たよ。ありがとう。』
そして、ニコッとしてくれた。
『叶わない。』と思っていた恋。
まだ、諦めちゃだめですか?
written by nano*
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