私が高校2年生の時のお話です。
私は誰とでも仲良くなれる明るい性格ですが、諸事情により部活動は禁止でしたし、ケータイも事あることに没収されてたので、事実上持ってなかったですし、土日祝日も遊びに行けませんでした。
とある文化系の部活に所属している友達から「今年入部した1年の中に、すっごくイケメンなんだけど、すっごくネガティブな人がいるの。この話は先輩(=部長兼友人の彼氏)にしておくから、その人のネガティブ直して欲しい!」と言われ、とりあえず会ってみました。それが彼です。細身で長身な彼は私の好みのイケメン顔ではありませんでしたが、ジャニーズのとある人に似てました。
紆余曲折を経て、出会いから約半年後に彼から告白をされ、家庭環境の事を話し、了解してくれた上で交際をスタートしました。
交際してすぐにお邪魔させてもらってる部活の全員には交際の事を話してはいたけれど、彼の私への接し方は以前と何も変わらず、明らかに先輩後輩!みたいな、少し距離がある感じ。それに少し寂しさを感じてました。「唯一会える場所なのに…」と思ってましたが私自身、口に出せる性格ではありません。
季節は秋になりました。我が校では学年対抗球技大会が2日間にかけて行われます。出場待ち及び敗退者はクラスの応援に回るか、教室にて自習しろと言われていたけれど、大抵の人は応援に回ってました。別にどっちもしてないからといって咎められる事もなかったです。
全生徒は球技大会で盛り上がってる中、私は別なことに盛り上がってました。それは…罰ゲーム付きトランプ大会!先輩が大人の内容ものを中心に書かれたトランプと同サイズ同枚数の物を持ってきたのです。
部室で私の左隣に先輩(友人の彼氏)、目の前には友人、そして右隣には彼が座って基本4人で遊べるものを中心にトランプをしてました。負けたからといって必ず罰ゲームを食らう訳ではないため、毎回ゲーム終わりはドキドキでした。(例:このカードを持っている者の左隣の人は更に左隣の人の頰にキスをする。みたいなカードも多数)
身体を触る系の罰ゲームは指示関係なく、カップル同士で行うことにしました。交際歴も長く、前からオープンでイチャイチャする友人カップルは罰ゲームを堂々とやりますが、彼は断固拒否。私の身体を触るような罰ゲームはひたすら避け、別の罰ゲームばかりを実践してました。(勿論、相手にさせる系ではなく、自分が何かする系の罰ゲームです)
そんな中、先輩が負け、引いた罰ゲームが「このカードを持っている者の目の前に座っている者は恋人及び好きな人の良い所を5個以上言え」という者でした。先輩の目の前は彼です。恋人らしい事をしていなかったのもあって、私は『私のどんな所が好きなんだろう!気になるー!』とドキドキしながらもワクワクしながら答えを待ってました。すると彼は「いや、マジで特に好きな所とかないっす。」と真顔で回答。流石にこれには堪えましたが、悟られたくなかったし、場を白けさせたくもなかったので「彼に好かれるよう、精進しまーす!!」と冗談を言ってその場を流しました。
そうこうしていると、先輩の出場時間に。彼女である友人は応援に行くと言って、先輩と一緒に出て行きました。私達も応援に誘われましたが、彼が「眠いので」と言って断ってたので、私もその場に残る事にしました。オンボロではありましたが、部室にはソファがあったので、彼は先輩達が部屋から出て行くのと同時にソファに横になり、そのまま寝ました。残った私は暇だから…という事で持参してたゲームのレベリングをソファから離れた場所に座ってしてました。
暫くすると彼から私を呼ぶ声が聞こえました。振り向くといつのまにかソファに座ってて、こっち来てとの事だったので彼の所に行くと、腕をぐいっと引っ張られ、いきなりキス!からの私をソファに座らせたと思うと私の事を強く抱きしめてきたのです。戸惑う私をよそに彼は、私に顔見せないよう強く抱きしめたまま私の好きな所を5個言ってくれました。
抱きしめる手が緩んだのをきっかけに私は彼の顔を覗き込み、「いきなりどうしたの?!」と尋ねました。彼はもう茹でタコのように顔を真っ赤にさせながら「さっきの罰ゲーム。場を白けさせないように笑いながら誤魔化してたけど、その笑った顔も泣きそうな顔だった。それに…良い所や好きな所を言うって事は俺しか知らない部分をバラす事になるし、それで取られたくないから人前では言いたくなかったの。」との事。そして続けて「言っとくけど、ちゃんと好きだからね?その…ほら、こういう姿見られるの恥ずかしいから今まで通りに接してるけど。顔に不安って毎回書かないでよね?こっちまで心痛めちゃう。……好きだよ…彼女になってくれてありがとう。」って言われて私は思わす嬉し涙を流しちゃいました。「私も好きですー…ずっと不安でしたー…(号泣)」と本音を言いました。「これだとどっちが先輩か分からないね」と笑いながら頭を撫でてくれ、続けて「さっき引いて拒否った罰ゲーム、今全てやろうか。ほら、俺の膝の上に座って。(本当にあった)」
と、友人カップルが帰ってくるまで、私達は罰ゲームに書かれてたことを全てやりましたが、本来彼がやるべき罰ゲームも「反応が可愛い」という理由で全て私にやらすので恥ずかしかったですが、今では良い思い出の1つです。
written by 5円
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