忘れるなんてできません

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実際にあった話です。私は、自分の叔父が好きでした。家族としても男性としても叔父が大好きでした。歳も離れすぎているし、身内なので到底叶わない恋だとわかっていても叔父のことが大好きでした。しかし私は好きだった当時に自分の気持ちに気づくことが出来ませんでした。
小さい頃から両親は男兄弟にばかりかまっていて、放置され気味だった私にいろんなことを教えてくれた大切な人でした。
私が学校に行くようになってからはお互いに忙しくて頻繁に会うことは叶いませんでしたが、それでも何度か2人だけで出かけたりもしました。
しかし、中学2年から高校2年になるまでの間は連絡がプツリと途絶えました。元々お互いに多忙を極める生活をしていたので別段気にせずに過ごしていましたが、それが私の今までの短い人生の中での最大の後悔となるとは思いもしませんでした。高校2年の12月に叔父が亡くなったのです。過労死だったそうです。突然のことで理解が追いつかず、頭が真っ白になって、どうすればいいのか分からなくなりました。もう会えない哀しみと腫れ物を触るように私を扱う両親や親戚への怒りと死を目の当たりにした恐怖と連絡が途絶えた時に心配をしなかったことへの後悔とがごちゃごちゃになって、知らせを聞いた時は薄情なことに涙も出ませんでした。ただただ真っ白で真っ暗な空間が頭の中に広がるだけでした。葬式や関連の行事が全て終わっても私は叔父が亡くなったことを受け入れられず、連絡先に何度も何度も電話をかけました。その時に、私は叔父を家族としても人としても、一人の男性としても愛していたということに気づきました。そして、「好き」という言葉を伝えなかったことをすごく後悔しました。
小さい頃からずっと良くしてもらったのに亡くなってから自分の本当の気持ちに気づくなんてどこまでも薄情な女ですが、大学生になった今でも連絡先は消せずにいます。街中で似ている人を無意識に目で追っていたり名前が同じ人にやたらと反応したりしてしまいます。未熟だった、忙しかったなんて言い訳はしたくありませんしできませんがそれでもとても後悔しています。
今好きな人がいる、愛している人がいるなら、自分の本当の気持ちをその人に伝えてみてください。好きなことは悪いことではないと思います。もちろん、恋愛の「すき」だけでなくても、いろんな「すき」があっていいと思います。伝えるのに必要な要素(勇気だったり愛情だったり)は人により違うと思います。だけど、必ず伝えてみてください。その時に思ったような返答が返ってこなくても気にしないでください。大事なのは、今の気持ちをその人に伝えることができたかどうかです。伝えずに後悔するのは小説やドラマなどで見たり聞いたりするよりもずっとずっと辛くて痛くて哀しいことです。

written by おるせいん

エピソード投稿者

おるせいん

秘密 投稿エピ 1