鈍感すぎてごめん!

コンテンツ名とURLをコピーする

私が学生の頃の話です。

当時、私がバイトをしていたお店に新人の男の子が入ってきました。
背が高く、さらさらの黒髪、優しそうなイケメン。絵に描いたような王子様タイプの人でした。
バイト先に女の子はそれなりにいたけど、それぞれ彼氏がいたり、今は彼氏なんていらないかな…な子ばかりでした。
聞くところによると彼は私と同い年のフリーター。どうやら彼女もいない、と。
その情報を手に入れた瞬間、私の気持ちは決まりました。

絶対彼氏にする!

しかし彼と勤務が被ることはほとんどなく、私が終わったら彼がシフトに入るような状態でした。
そんな私が作った接点。
彼が勤務前にバックヤードにいるときに、バックヤードで高いところのものを取ろうとすることです。笑

私は平均身長をはるかに下回る低身長。本当なら周りによじ登るものや乗れそうな台を探してきてひょいっと乗ってでも取るんですが、彼に頼ってしまおう、接点を作ろう!ということでがんばってみました。笑

それがきっかけで連絡先を聞き出し、何となく電話したり(当時はSNSなどなかったので)メールしたりするようになりました。

ある日、大学のサークルの飲み会があり、終電ギリギリで最寄り駅に着きました。
なお、最寄り駅→(歩いて5分)→バイト先→(自転車で5分)→私の自宅→(自転車で20分)→彼の自宅という距離感。
そこそこ飲んでいた私は勢いあまって彼に電話をしてみました。

彼「もしもし?どーしたの?」
のら「今日サークルの飲み会あって」
彼「ずいぶん遅いね、大丈夫?」
のら「うん大丈夫ー」
彼「今どこ?」
のら「最寄り駅だよーこれから帰る!迎えにきてー」
彼「んー待ってて!家まで送るから!」
のら「え、バイトは?」
彼「遅れるって言っとくから大丈夫!」

びっくりしました。
そしてしばらくたって本当に迎えにきてくれました。

2人でいろんな話をしながらゆっくりゆっくり歩く初夏の夜。湿気はあるけど、酔った身体に夜風が気持ちいい。何よりも隣に大好きな人がいる。幸せだなぁ。
そんなことを考えているとあっという間に自宅前についてしまいました。

のら「本当にありがとう、バイト大丈夫かな」
彼「大丈夫だよ、そんな心配しないで」
のら「うん、また明日ね!おやすみ!」
彼「おやすみ」

ちゅ。

のら「うん、じゃあね!バイバーイ!」

後ろも振り返らないで自宅に入って自分の部屋で気づきました。

え?あれ?さっきキスされた?あれっ??ええ??

酔ってたにしても意識ははっきりしてるし、何なら酔いなんてブッ飛んだし?
てか何で私あんな対応したんだよ!えええ!

もう大パニックです。笑
すっかり寝不足な次の日、運が良かったのか悪かったのか彼とシフトが1時間ほどかぶっていました。

彼がバックヤードに入る姿を確認してから勤務中だったけど話さなきゃ!と思って勇気を出してバックヤードへ。

のら「おはよー」
彼「おはよー」
のら「あのさ、昨日のことなんだけどさ…」
彼「…うん」
のら「LOVEとLIKEどっちなの?」
彼「…LOVEに決まってんじゃん!」
のら「あ…実は私もLOVEです…」

まさかの勤務中に彼氏ができました!笑
イケメンの彼氏なんて初めてで、私はこんな人と付き合ってていいのかと悩むほど。
でも大学生とフリーターではあまりにも時間が合わなさすぎて、この恋は短命に終わりました。

今は結婚して遠い土地で暮らしていますが、全国チェーンのバイト先を街で見かけるたびにあの時のキスを思い出します。

written by のら

エピソード投稿者

のら

投稿エピ 1