机の下でこっそりと

コンテンツ名とURLをコピーする

中一の夏、初めての彼が出来ました。
同じクラスで、同じ部活の彼でした。

彼はスポーツ万能、成績優秀、周りからの信頼も厚く、さらにはルックスもいい、まさに完璧男子。入学した当初は休み時間のたび、他学年、他クラスから彼を見に来る女子がいるくらいモテ男くんでした。

先に好きになったのは私の方。
私が居残り練習をしているのを見た彼がこっそり差し入れをくれたことが、きっかけでした。その後一緒に居残り練習するようになり、何にでも一生懸命で真っ直ぐな彼に、私は自然と惹かれていきました。
転機が訪れたのは夏休み最終日、居残り練習をして一緒に帰っているとき、彼から告白をされました。まさかの展開すぎて、嬉しくて泣きながらも返事をし付き合うことに。

これだけでも幸せなのに、夏休み明けの席替えでは1番後ろで、左隣にはまさかの彼!

毎日がさらに楽しくなりました。

そう思っていたのにー。

付き合ったことが周りに広まってくると、次第に彼に好意を持っていた女子から嫌がらせを受けるようになりました。
わざと聞こえるように「つりあってない」など陰口を叩かれたり、無視されたり…。なんとなく覚悟はしていたため、黙って耐えていました。

しかし、ある日の休憩時間、居残り練習に対して陰口を叩かれ、さすがにカチンときた私はその子たちと言い合いになりました。授業にきた先生が仲裁に入り、とりあえず席に着きましたが、悔しすぎて涙が止まりませんでした。

その休憩時間、教室にいなかった彼は、泣きながら席に座っている私をみて何かを察したようでした。
授業が始まってもなかなか涙が止まらない私。すると彼は私の左手を取り、机の下で、誰からも見えないように手を繋いでくれたのです。泣き止むまでずっと。予想外の出来事に、涙も胸キュンも止まりませんでした。

その後、彼は私の知らないところで私に嫌がらせする女子たちに直接ズバッと物申してくれたようで。憧れの彼からの言葉にショックを受けた彼女たちから嫌がらせを受けることはなくなりました。

初めての彼はこっそり胸キュンさせる天才でした。

written by おみつ

エピソード投稿者

おみつ

投稿エピ 3