五年前のことです。
当時の私はとても辛い恋をしていて、ずっとその気持ちを捨てきれず、ただ漠然とその悲しい気持ちを抱えながら、日々をすごしていました。
その頃は、どーしても、この気持ちから逃げ出したくて、友達と連絡をひたすらとって、沢山遊んで辛い気持ちを忘れようと、必死に毎日を生きていました。
そんな中、当時定時制の高校に通っていたのですが、夜、部活動終わりに、近くの山へ、男性二人の部活動仲間と、流れで行くことになりました。
車で少し上っていくと、休憩所があり、そこで三人で寝そべる形で星を見ることに。それがなんと、とても、綺麗な眺めでした。空気も澄んでいて心が洗われるかのような…。
そのときの景色が忘れられず、そのときに一緒に行った片方の男性に連絡をとり、「また星が見たい」とお願いして、同じ場所に連れて行ってもらいました。そう、そのときはただ、この苦しい気持ちを洗い流したい、忘れたい、そんな気持ちでいっぱいで…。
そして、何度も星を見に連れて行ってくれたのですが、あるとき「たまには、違う星の景色を見に行こう」と、海に連れて行ってくれたことがありました。
夜の海でした。波の音…月が海に映り、満天の星空…。海辺へ座り、眺めました。今でも忘れられません。
そして…眺めてるうちに、涙が勝手に溢れてきてしまったのです。
ただ、ただ、静かに泣いて泣いて…
そんな彼もやはり、びっくりして
「どうしたの?」と優しく声をかけてくれました。それでも、なにも言えず、ただ涙を流してる私…。
「…。」そして、彼はそれからなにも聞かず、控えめに、優しく、そしてそーっと、
私の背中をさすってくれたんです。
その手が、当時の私には、優しすぎて、暖かすぎて…困らせてるのに、ただひたすらに、なにも言わずに、背中をさすってくれるその優しさが、心に染みて、余計に涙が止まらなくなり、沢山沢山泣きました。
そのときの彼の優しさに、どれほど救われたかわかりません。その日を境に、当時好きだった彼を断ち切る決意ができたのでした。沢山泣かせてくれた、隣にいてくれた、彼の優しさのおかげでした。今でも一生の思い出です。
今ではその彼が、大切な大切な旦那様です。
出会ってくれてありがとう。今ではその優しい手で、ぎゅっと毎日抱きしめてくれています。
written by りーさ
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