遅刻魔とイヤホン

コンテンツ名とURLをコピーする

彼と付き合って1ヶ月くらいの頃。
まだ部活をやっていた私たちは
なかなかお金のかかるデートができず
街をぶらつくだけ、というのが多かった中
ある日、カラオケに行きました。
私は歌うのは好きでしたが
好きな男の人の前で歌うのは恥ずかしくて
相手の音楽の趣味もあまりわからないし
何を歌ったらいいのかわからなくて
ひたすら迷っていました。
迷った結果、思い切って
「好きなアーティストとかいる?」
と尋ねてみると
私も何曲か知っているアーティストだったので
これだ!と思い
そのアーティストの曲を歌いました。
すると彼は目をキラキラとさせて
「上手い!上手いし良い曲じゃん!!」
と褒めてくれました。

そしてまたある日のこと。
待ち合わせに私より少し遅れた彼は
現れるなり、にやにやしながら私の耳に
自分のイヤホンを当ててきました。
その距離の近さに驚きながらも
イヤホンから流れる音に意識を向けると
それはカラオケで私が歌った曲でした。
「これ、はまっちゃった。遅れてごめんね」
と微笑みながら言ってくれて
遅刻への怒りが
ときめきで飛んでいっちゃいました。
可愛らしい愛情表現だなぁと
数年経った今でも思い出してはにやけてしまいます。

written by あずみや

エピソード投稿者

あずみや

女性 投稿エピ 4

日常が少女マンガってよく言われる頭ん中花畑なコケシ頭。