高校3年生の学校祭の後夜祭で、赤いバラの花を一輪もらいました。通っていた高校の伝統で、女子は浴衣を着ます。ちょっと大人っぽい外見のごく普通の女子でしたが、お琴を習っていたので浴衣は着なれていて、浴衣美人だったかも、と思います。
祭のクライマックスの頃、一年生の時にクラスメートだった野球部エースの荒田君が私を呼び止めて、「美香っち、これ。」って赤いバラの花を一輪くれたんだ。その赤いバラがとても綺麗で夢のような状況に思わずテンション上がりすぎてしまって、「え⁉︎どうしたの、これ、くれるの⁈」って騒ぎかけちゃって、荒田君は焦って、「いや、あの、落ちてたから…、」って。私もちょっと落ち着いて、「そうなんだ、」とまさかの納得。(いやいや、そんな訳ない。)
「…荒田君と最近ゆっくり話すことなかったねー。」
「そうだね。」
「私、荒田君ってすごいな、ってずっと思ってたんだ、頭いいし、野球上手いし。野球って本当難しい、って飯野君も言ってたよ。」
「え、ヒロ⁈」(フツーにクラスの他の男子の話をする…ごめんよ。)
からの、
「私、野球頑張ってる人を応援するのが好きなんだ…。」(中学時代、好きだった野球部主将の事を引きずっている…)
「…野球してる人が好きだったりして…⁈」
「…ん、そうなんだ…。」
「その人に、言ってみればいいんじゃない?」
「その人、野球で本州の大学に進学が決まって会えなくなっちゃうんだ…。」
「そっか…。」
(返す返すごめんなさい、悪気なんかないのよ…。)
「……美香っち、北大文学部志望だよね⁈」
「そう。荒田君、北大医学部でしょう。頑張ろうね!」
そんな感じで、盛り上がって、別れた、気がする。
今なら、高校野球部男子の繊細な心もわかるのにな。当時は遂に気づけませんでした。だけど、この出来事は、私の青春の中で最もロマンチックな思い出の一つとして、心の中にあり続けると思います。
written by mika_chan
Sponsored Link
アーティスト 箏演奏家