今から5年前、23歳の頃でした。
私はいわゆるバイセクシャルで女性、男性に関わらず好きになった人が好きです。
当時私は彼氏と別れたばかりで、淋しさを紛らわすためにも、友人たちと遊び歩いていました。
そんなとき、ふと街の一角にあるビアンバーに1人で訪れていました。
バーで放し飼いにされている黒猫を、指先で撫でていると隣に誰かが座る気配が。
視線を向けると、そこにはとても綺麗な人が座っていました。
少し癖のある黒い髪のショートヘア、猫目気味の瞳が印象的な彼女。
私の視線に気づいた彼女は、柔く私に微笑みかけてから、細く長い指でタバコを吸い始めました。
一目惚れ、でした。
気づけば私は彼女に声をかけていて、色々なこと、話しました。
大人びているけど私より二つ年下であること、いつもはアパレルで働いていること。
そして…今は、お付きあいをしている人がいない事。
連絡先を交換し、その日は解散となりました。
それから毎日メッセージのやり取りをしました。
どちらからともなく話題を出し、話は続きました。
そして、彼女からの誘いで食事がてらドライブに行くことになりました。
仕事終わりに急いで待ち合わせた駅に向かうと、彼女は自分の車に寄りかかりながら、タバコを吸っていました。
月がとっても綺麗な夜でした。
食事を終え、たわいもない話をしながら車を走らせていると海の側に車を停めました。
車から降りると彼女は見せたいものがあるの、と私の手を取り砂浜に降りて行きました。
ちょうど2人が座れる大きさの流木を見つけ、彼女に促されるままそこに腰をかけました。
何かあるのかな、と不思議に思いながらも夏の終わりの海は風が吹いていて少し肌寒く感じました。
その時、ほら見えるよ。
私の肩を抱いて海岸を指差しました。
密着した身体に戸惑う間も無く
少ししてから、まるで海に落ちるような流れ星が一つ、また一つと流れ始めました。
とても綺麗で、私はすぐに目を奪われました。
流れていない星もとても綺麗で
まるで天然のプラネタリウムのようで、感動しっぱなしでした。
やがて、暫くしてから不意に彼女が私の身体から手を離し、星空を背に立ち上がり私に向き直りました。
出会ったばかりで、こんなこと言うの可笑しいかもしれないけど…貴方のことが好き、私と一緒に居てくれませんか?
どこか悲しそうな…それでも、初めて会った時と同じ柔い笑みでそう告げてくれました。
私は迷わず立ち上がり彼女の胸に飛び込みました。
私も、貴方が好きです。
そう言うと彼女は何も言わずに私の背中に腕を回してくれました。
彼女と付き合ってからは、幸せな毎日でした。
夜の街に行くことをやめて、その代わりに彼女との時間を増やしていきました。
遊園地に行ったり、お互いに選びあった浴衣を着て花火大会に行ったり…その時露店でお揃いで買ったネックレスは、初めて貰ったプレゼントということもあり、とても嬉しかったです。
花火が打ち上がったその瞬間、周りの人が見ていない隙に私達は初めて、キスをしました。
彼女とずっと一緒に居られる。
私はそう信じ、疑いなど抱いていませんでした。
彼女の本当の気持ちも知らないまま…幸せに浸っていたんだと、気付かされるのはもう少し先の話です。
※続き物になります。
次の作品もすぐに書きます。
written by 睡蓮
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創作エピ中心 皆様の胸に残る、そんなお話を書いていきたいです。