本当のさようなら

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中学から高校にかけて3年付きあった同い年の彼がいました。私の片想いから実った恋で、本当に大好きな人でした。一緒に下校するのが日課で、分かれ道では必ず私の姿が見えなくなるまで見送ってくれる優しい彼でした。

しかし、高校が離れ、会う機会が減り、彼から別れを告げられました。

それからの数年間。彼氏は出来るものの、私の心のにはいつもあの時の彼が忘れられず、長続きはしませんでした。

そんな状態のまま成人式を迎えました。
久々の中学時代の友達に再会し、はしゃいでいると

「久しぶり。」

後ろから声がして振り返ると彼が立っていました。久々の彼は、少し背が伸びていましたが、あの頃と変わらない大好きな彼でした。

「…久しぶり。」

私は緊張と嬉しさと戸惑いでまともに目も合わせられないまま、ぎこちなく返事をしてしまいました。

成人式、二次会、三次会とすべてがおわったのは夜中の1時過ぎ。私と彼は家も近かったため必然的に2人で歩いて帰ることになりました。
お酒の力もあり、話が弾んでいろんなことを喋りました。

大学のこと。
最近あった面白いこと。
好きなお笑いのこと。
進路のこと。

彼に彼女がいること。

彼はもう新しい道をちゃんと進んでいるのに、私だけ立ち止まったまま…、いい加減前に踏み出さなきゃいけないと思いました。

そしてその日初めて彼の目を見て伝えました。

「ずっとずっと、好きだったよ。」

彼を困らせないよう涙をこらえて笑顔で伝えました。

そんな私の心情を察したであろう彼はそっと私を抱きしめて
「ごめんな…ありがとう。」
そう伝えてくれました。

余計に泣きそうになりながらもぐっとこらえ、
「彼女いるのにこんなことしたらダメだぞ!笑」
と冗談まじりの声でいいながら、離れたくないと思いつつそっと彼の胸を押し返しました。

そしてあの時の分かれ道。
あの頃みたいにバイバイしました。
少し歩いてから振り返るとあの頃みたいに見送ってくれた彼の姿はありませんでした。

これが本当のさようならだと実感し、涙が溢れて止まりませんでした。
こうして長年の私の恋は終止符を打ちました。


あれから数年、私の隣には大切な人がいます。もちろん、あの時の彼とは違う人です。あの時ちゃんと終止符打てたから、心の底から好きだと思える人なら出会え、幸せな日々を送れています。

written by おみつ

エピソード投稿者

おみつ

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