最初で最後のホワイトデー

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高校3年で出会った彼は、家庭教師でした。
私の一目惚れで、それから5〜6年の片想い。
一度想いは伝えましたが、生徒としてしかみられないと言われましたが、勝手に好きでいることは許してもらえたので、何もいらないから好きでいさせて、と伝えました。

誕生日、バレンタイン、クリスマス。主要なイベントは全て踏み、ささやかながらの贈り物をしていました。

院に進んだ彼も、ついに卒業の年。
2月、毎晩のようにキャンパスに残り、卒論に明け暮れていました。私は甘党の彼に、毎年と同じように、バレンタインのチョコレートを贈りました。
そして3月、初めて彼の方からお誘いがありました。珍しいこともあるものだと待ち合わせ場所に向かい、カフェでお茶をしました。
2時間ほど話した後、このあと用事があると言い、卒業旅行に行ったからお土産あげる、とだけ言い、お土産のチョコレートをくれ、そのまま彼とは別れました。

今日は誘ってくれてありがとう、とお礼の連絡を入れようとした、その時。
「今日は時間作ってくれてありがとう。卒論で大変だった時にバレンタインくれて頑張れたから、そのお礼です。ありがとね。」
彼は天然人たらし。
現在は私も彼もそれぞれ恋人ができ、それぞれ幸せにしていますが、これは彼がくれた最初で最後の好意とホワイトデーだと、胸にしまっています。

written by 獠香

エピソード投稿者

獠香

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