クラスのマドンナからの突然のラブレター 泉くんside

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このエピソードを彼女側の目線から見たら…?
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元になったエピソード

《突然こんな手紙を書いてごめんなさい。私はずっと泉くんのことが好きでした。付き合ってください。酒井》

このクラスのマドンナ的存在の女の子といえば酒井だ。
クラスで一番可愛い女子はと聞いて、10人中9人が酒井と答えるほど酒井は人気だ。
酒井を好きな男子は数しれず、俺もその中の1人だった。

何人もの男子に告白を断ってきたことで有名な彼女がどうしてこんな平凡な俺のことが好きだと言うんだろう。
話したこともないし、もしかして遊んでいるだけだったりするのだろうか。

色々考えすぎてなかなか返事出来ずに実質スルーしてしまっていたある日こと。
忘れ物をして教室に戻ると、中から酒井の友達の声が聞こえてきた。
「なんで泉くんなの? もっとかっこいい男の子がいっぱいいるのに」
それは俺も確かにと思った。
話題が自分のことなので出ていくにもいきづらくて立ち聞きをしていると、酒井から驚くような言葉が出てきた。

「私も入試の日に泉くんに助けてもらったの」

助けた? 俺が酒井を?
俺はそれを聞いた時、何が何だか分からなかった。
酒井の友達が「どういうこと?」といって続きを促すと、彼女は続きを話し始めた。

「入試の日、朝から体調が悪かったの。学校の前で貧血を起こしてしゃがみ込んでたら、泉くんが『大丈夫?』って言って声をかけてくれて、時間もないのにわざわざ保健室まで連れて行ってくれて……。もしあの時、泉くんがいなかったらどうなっていたかって思うんだ」
その時に好きになったの。
そう言って照れ笑いする彼女の声を聞きながら俺はまた驚いた。

あの時、俺が助けた女の子は君だったんだ。

俺はしゃがみ込んでいる彼女を放っておけなかった。
みんなが彼女の横を素通りしていく中、泣きそうな彼女に俺は声をかけたんだ。
試験までの時間はギリギリで、もしかしたら入試が受けられないかもしれないと思い焦っていたが、保健室に連れていくと彼女はとても嬉しそうにしていたから安心したのを覚えている。

そこまで思い出した時。
──ガラッ。

教室のドアが開いて酒井たちが出てきた。
「いっ、泉くん……もしかして、聞いてた?」
赤く染まった酒井の顔は、よく見ると確かにあの時の女の子だった。
どうして今まで気づかなかったんだろう。

次の日、俺は一つの封筒を持って行った。
昨日の話を聞いて赤くなった顔を見たら、遊びんじゃないかと疑った自分が恥ずかしくなった。
そして一刻も早く返事を書こうと思ったのだ。

《お手紙ありがとう。昨日立ち聞きなんてしてごめんね。でも、酒井があの時助けた子だったなんて思ってもみなかった。俺のことを覚えていてくれてありがとう。好きになってくれてありがとう。俺の彼女になってください。泉》


.*・ .・*

入試の日に私を助けてくれた男の子と同じクラスになれた。
私はあの時に泉くんのことを好きになった。
でも泉くんはあれが私だと気づいていないようだった。
泉くん、お礼を言うのが遅くなってごめんね。

「あの時、助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」

今度は私にも、泉くんを助けさせてね。

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written by 日向 葵